闇夜の月光
□第8章
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西暦3034年 7月2日 AM 10:00
「え、“闇狩り”を?俺達が?」
「えぇ、そうよ」
霧夜の問いに、璃依が頷いた。
それを聞いた霧夜は期待に満ちた表情をしていて、夏輝は不安でいっぱいそうな表情をしている。
順位を決める戦いからおよそ1週間。
ここで漸く、2人に“闇狩り”の任務が回ってきた。
実際は下っ端でもやる物なのだが、まだ入ったばかりという事と、順位が確定していなかったという事で参加していなかったのだ。
「今回は、司と行って来てね。一応、3人でやる事になってるから、安心して良いわよ」
「えっと……司さんって?」
夏輝が出て来た知らない名前に首を傾げた。
「オレだよ!」
ぴょん、と霧夜と夏輝の背後から飛び出て来たのは黒髪短髪の元気そうな少年だった。
「オレ、生原司って言うんだ!一応、幹部の10番目。よろしくな、霧夜に夏輝!」
ニカッと笑った司。
「俺は紫留霧夜です!」
「李科夏輝です」
「知ってるよー。入ったばかりで幹部にまで上り詰めた期待の新人!暁君と大和君に勝ったあの戦い、見てたし!」
楽しそうに話す司に、霧夜と夏輝も自然と笑顔になる。
「じゃあ、司。あとよろしくね」
「おっけーおっけー!任せとけって!オレの方が弱くても先輩だかんな〜!」
がんばるぜー、と手を振る司。璃依は小さく手を振り、「がんばってねー」と2人に言って去って行った。
「えと…司先輩、よろしくお願いします」
「んー…その先輩って止めね?何か変な感じする」
夏輝が言って頭を下げると、司は困ったような顔をした。
「そうですか?……じゃあ何て呼びましょう?」
「んとねー…普通に司で良いって!オレも霧夜と夏輝、って呼ぶから!……ってか、2人は何歳?オレはこの間18になって高3だよ!」
ニコッと笑った司に、見た目より随分と幼く見えるな、と思った2人だった。
「わ、私は16歳で今年2年生になりました」
「俺は17歳。同じ高3」
「えぇ!?嘘!夏輝の方が年下!?霧夜は良いとして、夏輝が年下!?」
司の凄い驚き様に、夏輝は戸惑いつつ「はい……」と頷いた。
「あー…それ、暁先輩にも言われたけど……」
「流石、暁君!分かってるね!」
「いや、『分かってる』ってなに!?」
ケラケラと笑う司に、むくれている霧夜。
そんな2人に、どうしたら良いのか分からない夏輝であった。