闇夜の月光
□第2章
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西暦3034年 4月7日 AM 11:30
「ふぅ〜。やっと授業終わったぜ〜」
「昼飯や、昼飯!はよ、屋上行こか」
「売店行ってくるから先行ってて!」
「おう。じゃ、はよ来いよ〜!」
そして霧夜は売店へ走って行き、颯汰は屋上へ向かう。
ドンッ……
「ッと、すんません」
教室を出る途中で誰かにぶつかり、颯汰が謝った。
「別に良い。それよりも、紫留霧夜って、貴方?」
颯汰とぶつかった少女は颯汰に向かって言った。
「いや?ってか、アンタ何もんや?」
少女の服装は真っ黒で金のラインが刺しゅうされている軍服のようなつくりだった。学校の制服ではなさそうだ。
それに、身長は颯汰と頭一つ分ほど違う。身長だけで言えば中学生くらい。だが、その雰囲気が落ち着いた…と言うよりも何も感じていないようで、見た目よりも大人びた印象を与えた。
「…私の事は気にしなくても良い。それじゃ」
そう言って去って行こうとする少女を颯汰は慌てて引き留めた。
「これから昼飯なんよ。シド…霧夜もいるし、一緒に来るか?」
「え?でも……」
少女は少しだけ、眉を寄せ、困ったような顔をした。
「良いから良いから」
颯汰は少女の手を引いて屋上へ向かう。
少女の服装故か、廊下に出ている生徒たちの視線が2人に突き刺さる。
少女の表情はあまり変わらず、ただ下を向いて颯汰に手を引かれるまま歩いていった。