Silver Sword

□第3章
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『――――残念ながら、既に二百十三名のプレイヤーが、アインクラッド及び現実世界からも永久退場している』




 茅場のアナウンスによってもたらされたその事実を、プレイヤーたちは受け入れることができなかった。

 二百人以上のプレイヤーがナーヴギアに脳を焼かれて死んだ―――――

 そんな事をすぐに信じられた者は…受け入れた者はほぼ0だった。

 しかし、全プレイヤーの望みを薙ぎ払うかのようにアナウンスが続く。

『諸君が、向こう側に置いてきた肉体の心配をする必要は無い。今後、諸君の現実の体は、ナーヴギアを装着したまま二時間の回線切断猶予時間のうちに病院その他の施設へと搬送され、厳重な介護態勢のもとに置かれるはずだ。諸君には安心して……ゲーム攻略に挑んでほしい』

「こんなの、もうゲームでも何でもないだろうが!」

 ギンやシンも思った事を、誰かが叫んだ。

 またしてもその声が聞こえたかのように、抑揚の薄い声が穏やかに告げる。

『しかし、十分に留意してもらいたい。諸君にとって、≪ソードアート・オンライン≫は、既にただのゲームではない。もう一つの現実と言うべき存在だ。……今後、ゲームにおいて、あらゆる蘇生手段は機能しない。ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君のアバターは永久に消滅し、同時に―――――――


諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される』


「はっ…デスゲームかよ」

「“昔”と同じじゃねェかァ?」

「そー言えばそうか。なら、なんも怖くねぇな」

「違いねェ」

 ギンとシンだけは普段と変わらない不敵な笑みをそれぞれ浮かべていた。

 しかし、周りのプレイヤーはそうではなく、絶望したような表情で呆然とする者が多かった。

 …まぁ、それは当然ではある。何故ならギンやシン――銀時と晋助はかつて前世で戦争に参加していた経験を持ち、更にその中でも最強と言われるだけの強さも持っていたのだ。

 今の2人にとって、その経験とお互いがいる事で怖い事など何もなかった。

 すると、茅場がアインクラッドの第百層でボスを倒せば生き残ったプレイヤー全員が完全にログアウトされることを保証する、と告げ、一万人のプレイヤーが沈黙した。

「俺等の予想あってたな」

「あたりまえだろ。普通に考えればそう思う。コイツ等、さっきから落ち着いてねェからなァ。気付かなかたんだろ」

「あ〜…、まぁ、そうか」

 シンとギンは何処か他人事のように、楽しそうに会話をしている。因みに小声なので周りには聞こえていないが。



 
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