Silver Sword
□第2章
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「よっしゃァァァァァァァァァァァァァ!!」
吉田家に銀時の叫び声が響いた。
「銀時〜?どうしたの?」
「母さん!見て見て!」
「父さんにも見せてくれよ〜、銀時〜」
「しょうがねーなぁー」
玄関の方で楽しそうに騒ぐ銀時と友紀、そして拓哉。
その声を2階にある自室で聞いていた松陽は微笑んだ。
前世において、両親に愛されなかった銀時は、今の両親(友紀と拓哉)に愛されて少し照れているようだったが、とても嬉しそうでもあった。
暫く騒いでいる声が聞こえていたが、バタバタと騒がしい足音が聞こえたかと思うと、松陽の部屋の扉がバン!と開いて銀時が駆け込んできた。
「兄貴兄貴!見てよこれ!ようやく手に入ったんだ!!!」
14歳になって若干大人っぽくなってきた銀時は、しかし昔と同じ、子供らしい笑顔で今買ってきたらしい物を松陽に見せた。
「あぁ、それがこの間言ってた『ナーヴギア』ですか?」
「そう!あとこっちが『ソードアート・オンライン』…SAO!」
ニコニコと楽しそうにはしゃぐ銀時に、松陽も楽しそうに微笑んだ。
「私はゲームやネットなんかはよく分かりませんが、楽しそうですね。銀時」
「うん!晋助も一緒だし、これが初めてだし!明日から早速やって来るから!!」
どうやら明日――2022年11月6日から正式サービスが始まるようで、銀時は今日からわくわくしている。
「んじゃ、ちょっと晋助んとこ行ってくる!」
「はいはい、いってらっしゃい。…あまり遅くならないうちに帰って来るんですよ?」
「はーい!」
銀時はそう返事をして走っていった。
そして翌日。
「じゃ、行くか…………リンクスタート」
銀時はサービス開始に1秒も遅れることなくSAOにログインした。
* * * * *
「うぉ〜!ここが……SAOか」
人々が集まる≪はじまりの街≫についた銀時―――ギンは周りを見回して思わず声をあげた。
現在の彼の容姿は、かつて攘夷戦争に出ていた時くらいの髪の長さでサラサラストレートの白銀の髪、瞳の色はそのまま紅だ。身長や顔のつくりなどはあまり現実と変わりない。
ギンの後ろでは青い光が次々と現れ、中から人たちが多く出てくる。
「ギン!」
駆け寄ってくるのは少し紫がかった長めの髪を後ろで一つにまとめ、翡翠色の瞳の少年。年齢はギンと左程変わらないように見える。
「おっせぇよ!……シン!」
「人が多すぎんだよ。なかなか此処に辿り着けねぇくらい人がいて鬱陶しい」
『シン』と呼ばれた少年―――晋助は顔をしかめた。
「とにかく、とっとと武器屋行くぜ」
「だな!」
そして2人は武器屋目指して駆けだした。