君との物語

□えぴそーど]
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放課後。

キモ キモ子と銀時に命名されてしまった、綱吉をはめた張本人である志野 叶子は家に帰ってから怒り狂っていた。


「(何よ何よ!なんか仲良くしちゃってるし!金山君と、谷川君と、中村君……だったかしら?なんで沢田 綱吉と!?銀時君が好かれるのは別にいいけど、なんで銀時君がアイツの味方するの!?私の王子様なのに!今でも夢に出てくるわ……///)」


頬を赤らめた叶子はあの日の夜の事を思い出していた。






―銀時が転校してくる前の夜―

叶子は綱吉をもっと苦しめるには何かいい策はないかと考えていた。だが、苦しめてはい終わり、というわけではない。いくら自分がボンゴレ10代目になったからと言って、綱吉が野放しにされるわけがないのだ。

初代の直系の子孫で、超直感にも目覚め、純粋の炎が出せ、なによりもリングに認められた正統な後継者である者を、ボンゴレが放っておくわけがない。

叶子はボスになろうと戦闘訓練や学問に励んではいる。戦闘訓練は獄寺や山本に頼んで土日に相手になってもらったりしているし、学問には授業には普通についていけるので、ボンゴレと関わりのあるファミリーはもちろん、これから同盟を結ぼうとしているファミリー、注目されているファミリーなど、様々なファミリーのことや、裏社会のことを学んでいる。

いくらトップになれたからと言ってわがまま言って暮らせるほどこの世は甘くないことを知っている。これでも自分はマフィアの一人だ。折角ついでも組織を潰してしまっては大変だし、自分のファミリーにも迷惑がかかる。

だから必死に皆に認められるボスになろうと頑張っているのだが、純粋な大空の炎が出せないし、リングに認められるかどうかもわからない。


だから、綱吉が必要なのだ。綱吉が自分のそばにいればボンゴレは安泰であると叶子は考えている。そのために、自分の提案を否定した綱吉をいじめ、自分につくから許してくれ、と言うまで苦しめさせる気でいる。

そうするために今のやり方ではぬるすぎるのだ。だからもっと苦しめなければならない。そのための策を考えていた。



だが、部屋にずっと籠っていてもなかなかいい案は出てこなかったので、気分転換に外へ行くことにした。

本当は買い物など部下たちにやらせればいいのだが、気分的に外に出たかったので、部下には「それくらい自分でやらなくちゃ〜。貴方たちに迷惑はかけられないからぁ」とか言い訳して家を出た。

因みに部下たちは「良い嬢に育って……!俺たちは幸せもんだ!」とか泣いていたが、正直構っていると面倒だったので放ってきた。


「はぁ〜。もうほんとにいい案ないかな〜?」


ため息をつきながら近くのコンビニへ歩く。

いつもは濃い目にしている化粧も、薄めにし、髪の毛も巻かずにカチューシャをしただけ。服装もいつもはもっと可愛い格好をするが、今はあまり派手すぎない服装である。

そのため、知り合いとであっても叶子だと気づかれることはほとんどない。第一、化粧し直すのが面倒なだけだったのだが。


「さて、今日は休んじゃった綱吉クンにどんな罰を与えようかしら……」


考えながら歩くうちに、コンビニへ着いてしまった。

とりあえず何か買おうかと店内に入ろうとしたが、不良と思われる男たち5,6人ほどがドアの前で屯っていて店内に行けない。

周りを見れば、迷惑そうに男たちを見ている人がちらほらいたが、彼らをどうにかしようと行動に出ようとする人は一人もいなかった。

はぁ、とため息をつき、男たちに近づいて甘ったるい声で「あのぉ」と声をかけた。


「あ?誰だテメェ?」


叶子は男に睨まれてビクッとして見せ、怯えた表情を見せた。本当はこんな奴ら怖くもない。マフィアの人に比べれば可愛いくらいだ。


「えっと、私ぃ、コンビニで買い物したいので、道をあけてくれませんか〜?」

「は?俺らの知ったこっちゃねぇな、んなこと」


どいてくれない彼らに内心舌打ちをするが、顔には出さずに再び話しかける。


「で、でもぉ、通りたいんです〜。ほかの人も入りたいみたいですしぃ」


    
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