君との物語

□えぴそーど\
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保健室に入るとき、銀時はもの凄く嫌そうだったが、しぶしぶ綱吉をつれて中に入り、綱吉を座らせた。その隣に椅子を持ってきて銀時も座った。


「いくらカワイ子ちゃんを助けるためとはいえ、何かで防ぐとかもうちょっと何かあっただろ?」


シャマルが氷やらなんやらを準備している時に、綱吉はその台詞を聞いて思わずクスリと笑った。

それにシャマルが驚きつつも、綱吉に「どうした?」と訊く。


「だって、シャマルと銀さんが同じこと言ってるから……」


銀時が更に嫌そうに顔をしかめると、綱吉はそれもおかしかったらしくクスクスと笑った。

シャマルはそんな綱吉を見て一瞬優しい笑みを浮かべてから、ニヤリと面白そうに笑った。


「そうかそうか。流石銀時。俺とやっぱ気が合うじゃねーか」

「テメェと気が合うとか鳥肌立つから止めろ。つーかそのキモい笑みやめろ、そして早くツナの治療してこの世から跡形もなく消え失せろ」


銀時がずいぶんと冷たく当たっているが、それは敵視しているような感じではなく、どっちかといえばじゃれている感じである。なんだか兄弟か親子に見えてくる。


「ひでーなー。久々に会ったってのに。もっと素直に喜んだらどうだ?」

「誰がテメェと会って喜ぶかよ、この女好き変態オヤジ」


シャマルは銀時と話しながらツナと向かい合うように椅子に座り、治療し始めた。


「んー、何処も骨は折れてねぇみたいだし、痣にもならないだろ。これで冷やしとけ」


氷がたくさん入った袋を素直に受け取り顔を冷やした。体育の後だったから、火照っていた顔が冷やされて気持ち良かった。

座っているのもなんだから、という理由でベットに寝かされた綱吉は、暖かいベットに何だか安心してしまい、睡魔に襲われて眠りに落ちてしまった。




……………




綱吉が寝ぼけている時にふとこんな会話が聞こえた気がした。

『―――――で?なんで銀時がこの学校にいるんだ?しかもその格好で』

『……いちゃあ、悪いかよ』


声からしてシャマルと銀時だろうと分かった。


『悪いに決まってんだろ。お前忘れたのか?あの日九代目にお前は―――』

『アイツの名前を口にすんなって何度言ったら分かんだよ!!』


銀時が珍しく怒った様子で声を張り上げ、ガタン、と音を立てた。


『うるせぇよ。アイツが起きたらどうする』


チッという舌打ちの音が聞こえた。


『……そりゃあ悪かったな。だが、今回は見逃せねぇな。なぜ沢田についた?』

『なんでお前に答えなきゃならねェんだよ』


今の銀時はじゃれてるようでなく、憎しみと悲しみが混じったような感じだった。声のトーンも少し低い。


『お前が俺の兄貴分だからだ』

『だから俺はテメェの弟分になったつもりなんてこれっぽっちもねーんだよ』

『はぁ。いい加減認めちまえよ。俺の弟分だって』


めんどくさそうに言うシャマルに、銀時が「はっ」と鼻で笑う様な声がした。


『ヤダね。なんでアイツ……獄寺と同じような立場に居なきゃいけねェんだよ。俺がいたいのはそんなちっぽけなとこじゃねェ。ボンゴレの奴隷なんて、そんな狭苦しいとこじゃなくて、俺は』


少し間があった後、銀時は泣いているような、子供の様に弱弱しい声で

『俺は、あの人の傍にいてェんだよ。あの人の傍が、俺の本当の居場所なんだよ』

 そう言った。


『俺はあの人の為なら何でもするさ。あの人に死ねと言われたら死ぬ覚悟もある。あの人に人を殺せと言われても殺す覚悟もある』


今度は強く、芯の通った真っ直ぐな声がした。


『……じゃあテメェは九代目に使える気は』

『本当はない。けど、俺はこれからもアレの命令を護る』

『……現にいま護ってねぇじゃねェか』

『バカか?俺がアレにうけた命令は――――』



     
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