君との物語

□えぴそーどZ
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二人はギリギリで間に合い、怒られることもなく授業を受ける事となった。


「お。お前が噂の転校生だな」

「噂の転校生?まじっすか。じゃあ俺モテモテじゃん。うわー、銀さん照れちゃうー」


銀時がふざけると笑いが起こった。


「じゃあ今日はバスケだ。まずは二人ずつペアでパス練しろー」


生徒たちはペアを組み始めた。勿論いつも綱吉は避けられるのだが、今日は違った。


「おーいツナ〜。一緒にペア組もうぜー」


 銀時が近寄ってきた。

「うん。いいよ」


当然綱吉は承諾するのだが、周りの視線が痛かった。


「うわっ、坂田アイツと組んでるよ」

「転校して来て知らないんだろーな」

「坂田君かわいそー」


綱吉はどうするべきか迷ったが、銀時が気にしていないようだったので、何も言わなかった。


「ボール持ってくるからちょっと待ってろ」


銀時がボールを取りに行くと、その周りにクラスメイトが集まり、こちらを睨みつつ何かを話していた。おそらく綱吉についてだろう。

叶子を苛めたから最低な奴だ、とでも言っているのだろう。銀時は驚くわけでも無く首を傾げ、ボールを持ってこちらに歩いてきた。後ろでクラスメイトが焦ったように名前を呼んでいるが、銀時は完全に無視。


「持ってきたぞー。んじゃパス練か〜。あーかったりー、さぼりてー」

「サボっちゃ駄目だよ……」

「ったく、お前は俺の母ちゃんかっての」

「普通の事だからね!?」


グダグダ言いつつも、パス練習を始めた。そこで分かった事だが、銀時はパスが上手い。という事はバスケができるのだろう。

先程走った時も、綱吉のペースに合わせていたので、本当はそれよりも走れるだろうと思った。


「お前運動苦手?」


銀時がボールをパスしながら訊いた。


「うん。オレダメツナって言われてたくらいだから……」

「ダメツナねェ」


綱吉がパスを出すと、少し外れたが銀時が上手くキャッチした。


「でも、俺ツナなら多分できると思うけどな、運動」

「えぇ!!む、無理だよ!!」


首を横に振ると、首を傾げた。


「そうか?だって体力はそれなりにあるんだろ?」

「うーん、あるのかなぁ?」

「大丈夫だって。試合の時はとりあえず自分が思う方に動け。とりあえず走ってりゃバスケなんてできるよ。あ、ちなみに俺、お前にパス何回か出すから」

「無理だって!オレにできる訳ないじゃん!」


そう言うと銀時が溜息をついた。


「無理無理って言ってただ本気で足らなくてそのままやり過ごすようじゃあ一生出来ねェよ?やるなら本気で……いや」


銀時は少し考えてから

「死ぬ気でやれ」

と言った。


え?と綱吉が言う間もなく、教師が「試合やるぞー」と言って、チームを作るように言った。

試合も問題だが、まずはチーム作りが問題である。いつも省かれてしまうため、保健室に逃げているのだが、今日は銀時がいる。という事は――


「おーい。一緒にやろーぜー」


やはり、銀時がづかづかと他のところに行って、チームに入れるように頼んだ。


「ちょ、銀さん……」

「坂田なら良いけど、ダメツナは……なぁ?」

「あぁ。アイツのこともあるしな……」

「んなけちけちすんなよ。やってる事が幼稚だぞ」


男子たちは少しだけ戸惑っていたが、しぶしぶ承諾した。


「はい決定ー。ってことでツナ。俺が言えることじゃないが逃げるなよー」


ぎくっと肩を揺らした綱吉はあははと苦笑いした。


「周りを見て判断する!走る!パスする!シュート!これだけだろ」


そんなに簡単なものではないが、試合が始まってしまうので、それ以上は言えなかった。

相手チームはわりと運動ができるチームだった。

「なんだ沢田がいりゃあ楽勝だろ」

相手チームの一人がそう言って笑うと、こっちのチームの綱吉と銀時以外が、こめかみに青筋を立てた。


「上等だ。絶対勝ってやる……!」

「おい沢田!お前も見せてやれ!!」

「(えぇぇぇ!?何この変わり具合!?)」


助けを求めようと銀時を見たら、銀時は黙ってその男をじっと見ていた。


「?銀さん?」

「おい、お前」


相手チームのその男に銀時が声をかけた。


「言ってくれるじゃねェか。ツナがいるからお前らが勝つ?馬鹿言ってんじゃねェよ。その逆だよ逆」


銀時は男に一歩近づく。


「ツナがいりゃあ俺達の圧勝だよ」

「なっ!?」


その言葉を聞いて相手チームが暫くポカン、としていたが、いきなり笑い出した。


「ハハッ!そいつがいて圧勝ー?無理無理」

「つよがってんじゃねーよ。ハハハッ」

「へー。テメェ等余裕そうだなァ。じゃあお前等俺らが勝ったら土下座して俺らに謝れよ」

「良いぜ、別に」


相手チームは余裕そうに頷く。



  
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