君との物語

□えぴそーどX
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銀時が転校して来た日の昼休み。綱吉は屋上にお弁当を持ってきていた。勿論作ったのは銀八である。

実際少し楽しみにしていた。

そしてどうして綱吉がここに来ているかと言う理由は、授業中に銀時に「昼休み、屋上に来い」と書かれた紙を渡されたからである。だが、その呼びだした本人はまだ来ていない。

銀時はクラスの人から一緒に食べようと誘われていたが、『今日はのんびり食べたい』とか言って断っていた。

そのわりには少し話し込んでいたが。

皆の注目がそれている間に、綱吉は屋上に来た。そしてひとつ小さくため息をついた。

「……やだなぁ、もう」

「なにが嫌なんだ?」

いきなり頭上が暗くなったと思い、顔を上げると、そこにいたのは銀時だった。

「あ、銀さん……」

「よっ。悪ィな。勝手に呼びだして遅れて」

「ううん、大丈夫だけど……大変だったね」


「あ?あの女達のことか?えっと……キノコとハヤシライスとタケノコ?」

「なんで全部食べ物!?」


「あと……なんだっけ。えっとー……さ、笹団子?」

「誰!?」

銀時は「あれ?違ったっけ?」と首を傾げる。

「まぁ、無事ならいいや……」



「んでよォ、『沢田』」

「……やっぱり銀八先生でしたか……」

「そうだよー、銀さんですよー」

銀時は「せいかーい」と言ってパチパチと拍手した。

「なんで小っちゃくなってんですか?」

「言ったろ?本名は『坂田 銀時』だって。んでもってこっちが本当の姿なわけよ」

銀時は弁当箱をあけ、手を合わせてから食べ始めた。

「って、え?銀さん、だって先生……ですよね?」


「そーだよ。でも実年齢がお前と同い年だけどな」

銀八の姿ではだいたい20代後半らへんだと思っていたのだが、実際は10歳くらい違っていた。

「じゃ、じゃあどうやって大人になってたんですか?まさか10年バズーカ……とか?」

10年バズーカはランボが良く使うもので、これを使うと10年後の自分と入れ替わることができるのだ。

「あー、そーいうのじゃねーよ。そうだったらお前のこと知らねーし」

そう言われてみるとそうかもしれない。それに、長時間入れ替わることはできない。持って5分である。それを一日中教師となると、その可能性はないと考えられる。

「え、じゃあなんで……」

「それはナイショ。つーか知らない方が身のためだぞー」

「……なんですか。まさか、どこかのファミリーが絡んでるんですか?」

「さぁねー。どーだろうか」

 おひたしをひと口食べ、「まぁまぁだな」と自分で評価した。

「つーかお前も食え。なんか腹立つ」

綱吉は「すいません」と少し焦りつつも謝り、銀時のように弁当箱を開け、手を合わせてから食べ始めた。


「それにしても、あの教室香水臭くね?無理なんだけど。甘味は好きだけど、あぁいう変な甘ったるいようなにおいは吐き気するんだけど。なんでアイツ等大丈夫なワケ?馬鹿なの?それともアホなの?しかも何アイツ等。頭悪っ!見ててイライラするわ」


ぶつぶつと本音をぶちまける銀時に、綱吉は苦笑した。

「銀さんは教師できるくらい頭いいんですから、しょうがないですよ」


「それにしたってよォ、何であんな簡単な問題といただけで『流石!』とか言われてんの?基本中の基本だよ。あんなもん」


そう言う銀時は、授業中100発100中で当てていた。問題を解くのも早いし、正直出来過ぎていて教師が困るほどだった。

一番驚かせられたのは国語の時間。銀時が大きなあくびをした。その事を教師が注意した。


銀時は謝る訳でも無く、国語の教師に言った言葉は
「教える気あるんですか、先生」
 だった。

その言葉に怒った国語の教師は授業を放棄して「じゃあお前がやれ」と言っていた。どうせできないだろうと思っていた教師だったが、銀時が丁寧に教え始め、出来なかった生徒も出来るようになった。

良く理解できなかった綱吉も、銀時の説明(授業)をきいて納得した。

そして銀時はさらに
「とりあえずやりましたけど」
 と言ってめんどくさそうに席に着き、そこから眠った。

丁度そこでチャイムが鳴ったので、教師は怒りと屈辱でわなわなとふるいていたが、やがてそくささと出てって行った。

元から国語の教師は叶子ばかりを褒め、敵を見るかのような感じで綱吉を見ていた。そのため、綱吉にはきつく、叶子の周りには優しかった。

正直、綱吉はホッとしていた。少し(と言うかかなり)苦手だったので助かった。

綱吉が小さく礼を言うと、銀時は「思った事言っただけだから、お前に礼を言われる筋合いはない」と言っていた。

「此処の教師教え方下手くそだわ、うん。特に国語。あんな教え方で馬鹿が分かる訳ねーだろーが。アイツ等リボーンにシバいてもらった方が良いんじゃね?」

確かにリボーンのやり方ならば、恐怖とともに確実に覚えるだろう。


あのスパルタには耐えられる人はあまりいないな、と小さく笑った。

 
  
   
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