君との物語

□えぴそーどW
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 小鳥のさえずりが聞こえる中、綱吉は起きた。

目を覚ますと見慣れぬ天井に、見慣れぬ部屋。

起きた瞬間ここが何処だが分からなかったが、そう言えば昨日銀八の家に引っ越しに来たのだと思いだした。

「ちゃおっす、起きたかツナ」

「……おはよう、リボーン」

 リボーンはツナの上にひょいっと乗っかった。

「起きたら顔でも洗いに行け。もうギントキは起きてるぞ」

 そんなに起きるのが遅かったのかと驚いて起きると、まだ4時半だった。

「ぎ、銀さん起きるの早……」

「お前も早いけどな」

 突然入って来たのは銀八。

服は私服だが、メガネはいつも通りかけていた。

「お前こんなに早く起きて何すんだよ。もちっと寝てろ」

「あ、いえ、大丈夫です。……銀さんは?」

「俺は仕事だよ仕事。色々大変なんだぜ、教師も」

 そう言えば銀八も教師だったなぁと思い出す。そして思ったことが1つ。

「……教師が二人もいる」

 もちろんその二人とは、銀八とリボーンである。

「確かにな」

「いいじゃねーか。覚えるぜェ?」

 銀八は知らないが、リボーンはスパルタすぎて怖い。


正直、覚えられるが。


「おら、まだ早いんだ。ガキは寝とけ」

「……あの、オレもう中学生なんですけど」

「それでもガキはガキだろ。ほら、早く寝た。今日学校だろ?」

 学校、と聞くと綱吉は急に気持ちが暗くなった。

また地獄が始まる。そう思うと嫌になってきた。

「……んな顔すんなよ。大丈夫だよ。お前は、俺が護る」

 そう言うと銀八は「6時になったら、降りて来いよ〜」と言って部屋を出ていった。

護る、この言葉が嬉しかった。

「……ありがとう、銀さん」

 綱吉は少し笑みを取り戻したのだった。






 6時になって、下に降りていくと良い匂いがしてきた。

「おー、よく寝たか、少年」

「何ですかそれ」

「んー?言ってみただけ。つーか早く座れ」

「あ、オレも手伝います」

 綱吉もキッチンへ向かうと、既によそわれた味噌汁に、綺麗に持ってあるご飯、そしてそれぞれ一人一人に分けられたおかず。

昨日の夜も食べたが、とてもバランスが良く、味もいい。

主婦か!と突っ込みたくなるほどの腕だった。

 本人曰く「独り暮らししてりゃあ誰でもこうなる」らしいが。

 三人分を運ぶと、それぞれ席に着いた(因みに新たにテーブルと椅子を持ってきたのは銀八である。そのため、椅子は三つある)。

「「いただきます」」

「はいどーぞ」

 食べる二人に銀八は満足そうに頷き、自分も食べ始めた。

「まさかとは思うがギントキ、毒なんて入ってねーだろーな」

「入れるかバカヤロー」

「リボーン、何でそんなに警戒してるのさ」

「ギントキだからな」

「説明になってないよ!?すいません銀さん……」

「沢田が謝ることじゃねェよ」

 たまに、リボーンが警戒する意味が解らない綱吉は「じゃれてるのかな?」程度にしか思わない。

まさか、銀八の本性が闇に包まれたものだなんて、まだ知らない。

「ったくよォ。……沢田、ちゃんと全部食えよー。銀さんの料理は全部食べないと損だぜ」

「自分で言ってどうする」

「いいんですぅ。事実だから自分で言っても良いんですぅ」

 銀八がふざけると、綱吉はクスリと笑った。

「なんか、銀さん子供みたいですね。……なんだか、同じ年の人みたい」

「……何それ、超直感?」

「?いえ、ただ単にそう思っただけですけど?」

「あっそ」

 なんでもないように再びご飯を食べ始める銀時。

綱吉は首を傾げつつもご飯を食べた。

「あ、そうだ沢田」

「はい?」


「今日、楽しみにしとけ。サプライズあるから」


「サプライズ……ですか?」

「おう。びっくりしすぎて腰抜かすなよー」



 銀八は子供の様に笑った。



     
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