君との物語

□えぴそーどV
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 あの後、綱吉とリボーン、銀八は沢田家へと向かっていた。

 綱吉はどこか顔色が悪く、緊張しているようだった。


「んなに緊張すんなって。大丈夫だよ。俺も説明してやっから。な?」

 綱吉はコクリと頷けば、銀八は頭をクシャりと撫でた。

 家の前につくと、綱吉は少し戸惑っていたが、リボーンはお構いなしに入っていった。

一応銀八はインターホンを押した。中からはーいと女の人の声が聞こえた。

 そして中から出て来たのはエプロンを付けた優しそうな若い女の人だった。


「どなた?……ってツッ君?」

「かあ、さん……」



 どうやらこの女性が綱吉の母親らしい。

綱吉は体を少し強張らせた。

「ツッ君今日具合悪いって……。まさかサボったの?」

「そ、れh「ちょっとした野暮用だぞ、ママン」リボーン……」

「そんな暇があるなら叶子ちゃんに謝りに行ったらどう?」

 少し怒ったようにいう綱吉の母親に、綱吉は悲しそうにし、リボーンは眉をピクリと動かした。



「……こんにちは。今日は私が用事があり、息子さんを呼びだしてしまい、申し訳ありませんでした」


「えっと、どなたですか?」

「申し遅れました。私はある中学校の教師の坂田 銀八と申します。本日ここに参りましたのは、綱吉君について少しお話を、と思いまして」

「あら、先生でしたか。私は綱吉の母の沢田 奈々です。先生、どうぞ中へお入りください」

「失礼します」

 銀八はダルそうな雰囲気を変え、真面目な教師のような感じになった。

そして綱吉に小さくボソッと何かを言うと、家に入っていった。

 綱吉はぎこちなく頷き、二階へ駆けて行った。


「ちょっとツッ君!?」


 奈々が呼び止めるが、綱吉はもう部屋に入ってしまった。

「すいません……」


「いえ、綱吉君は準備しに行っただけですから。綱吉君がいなくとも、大丈夫です」


「え?準備?」

「お母さん、落ち着いて聞いてください」


 銀八は真剣な表情で話し始めた。





〜綱吉の部屋〜


「……本当に、良いのかな」

 綱吉は手早く服をタンスから出してたたんでいった。

「お前も同意したじゃねェか。それにギントキは信じれる奴だぞ」

「そうだけど……。なんか悪いなって思ってさ」

 その畳んだ服を、今度は大きなカバンに詰めていく。

「人の好意は素直に受け取れ」

「うん……」

 詰め終るとカバンのチャックを閉めた。

そして立ち上がり、今度は通学に使う鞄に、教科書を次々に詰め込んでいく。



「……リボーンはどうするの?」

「俺はもうツナ派ってばれてるからな」

「オレ派って……」

「俺も行く予定だ」


 そう言ったリボーンに少しだけ安心した。知っている者が近くにいるのは安心する。

 教科書を詰め終ると、必要最小限のものもカバンに入れた。

「よし。これで準備は出来た」


 銀時に言われて二階に来たのは荷造りをする為である。


 綱吉は大きなカバンと、通学用のカバンを持って、戸を開けた。

すると奈々の声が聞こえた。穏やかな奈々が、珍しく焦ったように大きな声を出していた。


「ど……つ……ですか!?」



 綱吉は恐る恐る階段を下りた。

「ですから、先程から申しているように、暫く綱吉君を預からせていただきます」

「ツッ君を私やお友達が苛めてるだなんて――」



 
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