君との物語
□えぴそーどU
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あれから小太郎が晋助を連れきて、国語準備室にそれぞれ椅子に座った。
「……んで?何で俺らが守護者にならなきゃいけねーんだ?」
銀八が訊くと、リボーンは綱吉の膝の上で平然と答える。
「守護者がいねーからだ」
「だーから何でだよ。……獄寺はどうした」
一瞬だが、リボーンの眉がピクリと動き、綱吉が震えた。
「え、えっと……」
「うじうじしてねェでさっさと言いやがれ」
晋助がぎろりと睨むと、綱吉が小さく悲鳴を上げた。
「晋助、そう睨むなよ」
「俺ァ、ヅラに喧嘩するって聞いたんだがなァ」
「ヅラじゃない桂だ。それに喧嘩をするとは言っていない。もしかしたら]世―――いや、沢田の守護者になるかもしれんと言っただけだ」
「つまりは喧嘩だろ?」
晋助がふんっと笑えば、神楽がぼかっと叩いた。
「っ!何しやがんだテメェ」
「静かにするヨロシ。今はお前らが争う時間じゃないアル」
舌打ちをして、つまらなそうな顔をする晋助に、銀八はため息をついた。
「……言いたくなきゃ、言わなくても良いぜ」
綱吉は「えっ」と小さく声を出し、驚いた。
「そうですね。何か辛い理由があったんでしょう?」
「気になるけど、今は聞かないでやるヨ」
「だがもし、言える時が来たら教えて欲しい」
優しい笑みを浮かべた四人に綱吉は戸惑った。
リボーンはフッと笑った。
「よかったじゃねーかツナ」
「で、でも……」
「人の好意は素直に受け取るもんだぞ」
「う、うん……。あの、ありがとうございます」
綱吉は小さく頭を下げた。
「あの、それで何で僕らは守護者になって何をすれば……」
「だいたい俺はこいつ等を守護者になるなんざ言ってねェよ」
神楽達はえ?という顔をした。
「こいつ等は確かに戦えるし、そこらのバカには負けねぇくれぇ強い」
銀八はだが、と付け加えた。
「こいつ等を戦わせることは許可出来ねェ」
「おいテメェ、なに勝手に決めてやがる」
晋助がぎろりと睨むが、銀八はスルー。
「何でアルか!?困ってる人助けるのなんでダメアルか!?」
「ダメなもんはダメだ」
「先生!沢田さん困ってるじゃないですか!先生は沢田君を助けたいとは思わないんですか!?」
「いくらテメーらがそう思ってても、守護者になる事はダメだ。どーせオメーら学校休むだろ?」
すると、神楽と晋助は顔をフイッと背けた。
「やっぱりな。だからダメだつってんだよ」
「だが先生。守護者になるくらい―――――」
「しつけーよ。いい加減諦めろ」
「けど―――」
ガタンッ!
綱吉がいきなり席を立った。
「い、良いんですよ。無理なのは分かってましたし。オレなんかの為に、闘ったりする必要なんてないですもんね。……お邪魔しました。行こうリボーン」
「おいツナ!?」
リボーンはツナを追いかけていった。
二人がいなくなった部屋の中は重い空気が漂っていた。
「……銀……ちゃん」
「早くテメェ等は教室に戻って自習しろ。晋助、いい機会だ。しっかり勉強しろ、いいな」
銀八は席を立った。
「ちょ、銀さんどこに行くんですか?」
「出張だよ、出張」
そう言った銀八を見て、思わず三人はクスリと笑い、晋助だけが小さくため息をついた。
銀八は、バカ校長―――否、ハタ校長と、理事長であるお登勢に許可を取り(というか半場無理やり)、早退した。