君との物語
□えぴそーどT
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ここは銀魂中学校。
そしてその中で一クラスだけ、特別クラスがあった。
教室は2年Z組。騒いでいるその教室に向かう男が一人いた。
その男はふわふわとした銀髪に、透き通るような紅い瞳。
そして第二ボタンまで開けて、ネクタイも緩めているラフな格好に白衣を着て、サンダルを履いている。
手には今週のジャンプと国語の教科書、出席簿。
眼鏡をかけていて、口には火がつけられた煙草をくわえていた。
せっかくの綺麗な顔立ちも、ダルダルでやる気がなく、目が死んでいるため台無しである。
その男の名は坂田 銀八。
こんな恰好でも、れっきとした国語の教師であり、2Zの担任である。
何故国語の教師なのに白衣を着ているか、という所は触れないでおこう。
銀八はサンダルをペタン、ペタンと鳴らしながら歩いていった。
『2年Z組』と書かれた教室の前でピタリと止まる。
その教室のドアをガラガラッと開けた。
「ギャーギャーやかましいんだよ。文化祭気分ですか、コノヤロー」
銀八がそう言うと、がたがたと音を立て、生徒たちが座り始めた。
「オメーら、音読やってきただろーなァ。テストすっぞー」
「先生ー」
「あ?まだ呼んでねーよ。もうすぐ名前呼んでやっから待ってろ、大串」
銀八がメンドくさそうに言うと、発言をした本人――――土方は「大串じゃありません」と言って首を振った。
「そうじゃありません。先生いつから子供がいたんっすか?」
「あ?先生は独身だから子供は―――――」
「ちゃおっす」
足元で声がしたので、下を見ると、そこにいたのは黒いスーツとハットをかぶり、肩にカメレオンを乗せた赤ん坊だった。
「ちょ、ちょっとリボーン!?」
廊下から焦った様子で出て来たのは、栗色の髪の気の弱そうな顔の少年だった。
「先生ー!まさか隠し子ですかー?」
「違うって言ってんだろーがヅラァ」
「ヅラじゃありません桂です」
真面目に返す小太郎にため息をつきながらも、その赤ん坊に目をやった。
赤ん坊はひょいっと教卓の上に乗った。
「久しぶりだな」
「久しぶりだな、じゃねーよリボーン。お前分かってる?ここ学校。OK?」
「知ってるぞ。ここが『今の』お前の仕事場だってな、ギントキ。
……いや、今はギンパチっていったか?」
いつも表情を見せない銀八が、ピクリと眉を上げた。
「……で?何の用だ?授業もあっから後でも良いか?つーか後にしろ。邪魔だ」
「ところでギントキ」
「うん、まず人の話聞こうか?つーか銀八な」
「頼みたいことがあんだ」
「ねえリボーンさん?!聞いてる!?」
銀八がツッコむ中、リボーンと呼ばれた赤ん坊は平然としている。
「リボーンってば!迷惑だよ、急にさぁ!しかも授業中だよ!?」
「うっせぇぞツナ」
リボーンが少年に言うと、銀時は目を軽く細めた。
「あ?ツナ?……沢田 綱吉か?」
少年は眼を見開く。
「お、オレのこと、知ってるんですか……?」
「あぁ。お前リボーンの生徒で、ボンゴレ十代目
]世(デーチモ)だろ?」
すると少年――綱吉はビクッと肩を震わせ、フイッと顔を背けた。
リボーンはため息をつく。
「……わけありってわけか。んで?俺んとこ来たと?」
「あぁ」
「ったく……。おいオメーら。自習にするぞー。だからって騒ぐなよー」