銀色×僕SS
□第十六話
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『『銀ちゃん/さん』』
『んー?……なんだよ二人して真剣な顔して。親に交際認めてくださいって言いに来たカップルですか?コノヤロー』
『違うアル。こんな地味なオタクメガネとなんか付き合わないアル』
『それすっごいグサグサ刺さるんだけど!?ってそうじゃなくて!!』
『……銀ちゃんは私たちとずーっと一緒にいてくれるよネ?』
『おいおい、急にどうしたよ』
『僕ら、心配なんです。今日も大丈夫だからって一人で行って、こんな怪我して……』
『ただのかすり傷だろ?』
『それでも、アル!!もし大怪我して、銀ちゃんが死んじゃったらどうするアルか!?』
『死ぬって、んな縁起でもねェことを』
『アンタがしてんでしょーが!!……銀さん、もう一人で背負うのやめてくださいよ』
『私達に、少しでも良いから頼ってほしいアル。危険な依頼ならいかないでヨ。そんなので銀ちゃんが危険な目に遭うならずーっとお金なくて良いアル!』
『じゃあお前今日からスコンブ無しな。あと新八お通のCD買うの禁止』
『それは嫌アル』
『ちょ、お通ちゃん関係ないですよね!?』
『ほーれみろ。お客さんってのは神様だって誰かが言ってたろ?』
『……じゃあ酢昆布一日3箱までにするアル』
『3箱がお前の最低ラインな訳ね』
『分かりました。神楽ちゃんがそこまで言うならお通ちゃんのCDは買うのを一枚にします』
『そしてお前も無しじゃないんだ』
『だから銀ちゃん』
『『私(僕)達にも護らせてほしいアル/ください』』
『……はぁ。ったく、なーんもわかってねぇなぁ、お前等』
『な、何がアルか?』
『だからお前等は馬鹿なんだよ。……安心しろ。俺は一人になっても万事屋をやる』
『なっ!?僕達辞める気なんかありませんよ!?』
『人の話を最後まで聞きなさい。……万事屋を続けてやるから、だから、オメーらが死んでも、俺が死んでも、万事屋はなくなる事はねェ。だから生まれ変わってもまたやろう』
『……約束、アルよ?』
『おぉ。約束な』
『破ったら針10000本ですからね』
『……あの、新八君。なんで0を一個増やしたのかな?』
『そうアルよ新八。どうせ増やすなら針100000にするヨロシ』
『かぐらちゃーん?何で更に増やしたのかなー?銀さん殺す気ですかー?』
『銀さんが約束破らないようにするための策です』
『知ってる、新八君?世間ではそういう事を脅しって言うんだよ?』
『そんなことより銀ちゃん!指切りするアル!!』
『そんなことっ!?……はぁ、ヘイヘイ』
『『『ゆーびきーりげんまん、うーそついたらはーり一万本のーます!ゆーびきった!!』』』
「いい加減起きやがれ」
バシンッ!!
「いっ!?」
突然頭を叩かれて頭を押さえた。上を見上げると呆れた様子で立っている制服姿の晋助の姿だった。
「あ……れ?晋……?」
「そうだ。ったく、食事前に寝て待つ奴が何処にいる」
どうやらラウンジで晋助が食事の準備をしている間に、椅子に座っていてそのままうとうとして眠ってしまったようだ。
その証拠に首が痛い。
すると先程のものは夢だったらしい。随分と懐かしい物を見たな、と思う。
きっと昨日の事(攘夷浪士とあったり、晋助が思い出したこと)がごちゃごちゃして夢に出て来てしまったのだろう。
「しかも泣くほどの夢ってどんな夢だよ」
「へ?泣く……?」
頬を触ってみると、確かに濡れていた。
「また、お得意の昔の嫌な夢、か?」
晋助は手を伸ばして来て、銀の頬を少し乱暴に拭った。
「ちげェよ。……昔の夢には、変わりないけど」
「じゃあ良い夢か?」
「……あぁ」
先程の懐かしい夢を思い出して微笑む。
すると晋助がフッと微笑んで銀の頭をくしゃっと撫でた。
「もうすぐできるからちゃんと起きてろよ」
「ん。りょーかい」
晋助は再びテーブルに食事を並べ始めた。
自分でやると言ったのだが、「SS(シークレットサービス)の仕事をとるな」と断られてしまった。
そのため、妖館(あやかしかん)に来てからは、自分で取りに行かずにじっとしている事にしているのだ。
本当は晋助の記憶が戻る前に言われたのだが、戻ってからも晋助は変わらず銀の世話をした。
食事の準備を待つ間に先程の夢の内容を思いだした。
自分がまだ生きている頃、無茶して神楽や新八、そしていろんな人が心配してくれていた。
少しでも怪我をすればとても悲しそうな顔をしてくれた家族。
けれどそれが少しだけ嬉しかった。
精一杯護って、そして怪我をすれば心配してくれる、自分の為に悲しんでくれる人がいる。
それだけで救われた気分になった。
やってよかったと思える。