銀色×僕SS

□第十六話
1ページ/3ページ




『『銀ちゃん/さん』』


『んー?……なんだよ二人して真剣な顔して。親に交際認めてくださいって言いに来たカップルですか?コノヤロー』

『違うアル。こんな地味なオタクメガネとなんか付き合わないアル』

『それすっごいグサグサ刺さるんだけど!?ってそうじゃなくて!!』

『……銀ちゃんは私たちとずーっと一緒にいてくれるよネ?』

『おいおい、急にどうしたよ』

『僕ら、心配なんです。今日も大丈夫だからって一人で行って、こんな怪我して……』

『ただのかすり傷だろ?』

『それでも、アル!!もし大怪我して、銀ちゃんが死んじゃったらどうするアルか!?』

『死ぬって、んな縁起でもねェことを』

『アンタがしてんでしょーが!!……銀さん、もう一人で背負うのやめてくださいよ』

『私達に、少しでも良いから頼ってほしいアル。危険な依頼ならいかないでヨ。そんなので銀ちゃんが危険な目に遭うならずーっとお金なくて良いアル!』

『じゃあお前今日からスコンブ無しな。あと新八お通のCD買うの禁止』

『それは嫌アル』

『ちょ、お通ちゃん関係ないですよね!?』

『ほーれみろ。お客さんってのは神様だって誰かが言ってたろ?』


『……じゃあ酢昆布一日3箱までにするアル』

『3箱がお前の最低ラインな訳ね』


『分かりました。神楽ちゃんがそこまで言うならお通ちゃんのCDは買うのを一枚にします』

『そしてお前も無しじゃないんだ』


『だから銀ちゃん』

『『私(僕)達にも護らせてほしいアル/ください』』


『……はぁ。ったく、なーんもわかってねぇなぁ、お前等』

『な、何がアルか?』

『だからお前等は馬鹿なんだよ。……安心しろ。俺は一人になっても万事屋をやる』

『なっ!?僕達辞める気なんかありませんよ!?』

『人の話を最後まで聞きなさい。……万事屋を続けてやるから、だから、オメーらが死んでも、俺が死んでも、万事屋はなくなる事はねェ。だから生まれ変わってもまたやろう』

『……約束、アルよ?』

『おぉ。約束な』

『破ったら針10000本ですからね』

『……あの、新八君。なんで0を一個増やしたのかな?』

『そうアルよ新八。どうせ増やすなら針100000にするヨロシ』

『かぐらちゃーん?何で更に増やしたのかなー?銀さん殺す気ですかー?』

『銀さんが約束破らないようにするための策です』

『知ってる、新八君?世間ではそういう事を脅しって言うんだよ?』

『そんなことより銀ちゃん!指切りするアル!!』

『そんなことっ!?……はぁ、ヘイヘイ』






『『『ゆーびきーりげんまん、うーそついたらはーり一万本のーます!ゆーびきった!!』』』






「いい加減起きやがれ」

 バシンッ!!

「いっ!?」

 突然頭を叩かれて頭を押さえた。上を見上げると呆れた様子で立っている制服姿の晋助の姿だった。

「あ……れ?晋……?」

「そうだ。ったく、食事前に寝て待つ奴が何処にいる」

 どうやらラウンジで晋助が食事の準備をしている間に、椅子に座っていてそのままうとうとして眠ってしまったようだ。

その証拠に首が痛い。

 すると先程のものは夢だったらしい。随分と懐かしい物を見たな、と思う。

きっと昨日の事(攘夷浪士とあったり、晋助が思い出したこと)がごちゃごちゃして夢に出て来てしまったのだろう。

「しかも泣くほどの夢ってどんな夢だよ」

「へ?泣く……?」

 頬を触ってみると、確かに濡れていた。

「また、お得意の昔の嫌な夢、か?」

 晋助は手を伸ばして来て、銀の頬を少し乱暴に拭った。

「ちげェよ。……昔の夢には、変わりないけど」

「じゃあ良い夢か?」

「……あぁ」

 先程の懐かしい夢を思い出して微笑む。

すると晋助がフッと微笑んで銀の頭をくしゃっと撫でた。

「もうすぐできるからちゃんと起きてろよ」

「ん。りょーかい」

 晋助は再びテーブルに食事を並べ始めた。

自分でやると言ったのだが、「SS(シークレットサービス)の仕事をとるな」と断られてしまった。
そのため、妖館(あやかしかん)に来てからは、自分で取りに行かずにじっとしている事にしているのだ。

本当は晋助の記憶が戻る前に言われたのだが、戻ってからも晋助は変わらず銀の世話をした。



 食事の準備を待つ間に先程の夢の内容を思いだした。


自分がまだ生きている頃、無茶して神楽や新八、そしていろんな人が心配してくれていた。

 少しでも怪我をすればとても悲しそうな顔をしてくれた家族。

けれどそれが少しだけ嬉しかった。

 精一杯護って、そして怪我をすれば心配してくれる、自分の為に悲しんでくれる人がいる。

それだけで救われた気分になった。


 やってよかったと思える。



     
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ