銀色×僕SS
□第十五話
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銀が妖怪になると男になるという事が発覚し、何やら四人が和んでいる後ろでは
「……どういうこと?」
「僕に訊くな」
「もとからの知り合いでしょうか?」
「状況が読めないこの空気ドS!!」
という会話をしていた。
「ただいまーってあれー?これどういう状況?」
「何あんたら妖怪になって……その男、誰?」
仕事から帰ってきた連勝と野ばらも、いつもとはちがうラウンジを見て驚いた。
そして野ばらが一番気にしたのは、泣いている月詠とあやめの頭を撫でている長い銀髪の狼の尻尾と耳を生やしているという奇妙な格好をした男――銀だった。
「何月詠ちゃんとあやめちゃん泣かせてるわけ?って言うかアナタ誰?」
黒いオーラが見えているのは銀の気のせいではないだろう。
「よ、よぉ野ばら」
「急に呼び捨てにしないでちょうだい」
「ちょっと待った!マジで待った!一回落ち着け!これ俺泣かしたけど、俺じゃないから!!」
「結局テメェだろ」
「晋助殴るぞテメェ!!」
銀は晋助を殴ろうとしたが、その前に野ばらをどうにかしなければならないと思った。
「潔く認めなさいよ。か弱く可憐な女の子二人泣かせましたって」
「え?どこの二人がか弱く可憐?」
銀がふざけると泣いていたはずの二人が、銀の腹を殴った。
殴られた本人は顔を少し歪ませながら殴られた部分をさすった。
「ってー……。ほらか弱くないじゃん……」
そう呟いた後に、冷たい目線を送る野ばらに、耐え切れなくて連勝に助けを求めた。
「連勝ヘルプミー」
「何で俺?というか誰?」
「今そんな事どうでも良いだろーが!助けろや!」
まったく正体が分かっていない様子の二人に「あーもう!」と叫ぶ。
「この際誰でも良い!助け―――」
後ろを振り向き、四人に助けを求めようとしたが、固まった。
何故なら蜻蛉は面白そうに観賞していているし、双熾は笑顔で黙っていて、凜々蝶は何か言っているが双熾に口を押えられて喋れてないし、卍里に至っては晋助に苛められている。
「……マジかよ……」
がくりと肩を落とした。
「さぁ観念しなさい」
「わー!だからちげーんだよ!俺は――」
「皆そんなに騒いでどうしたの〜?」
「かげさまー」
そこで残夏とカルタが来た。
カルタはお菓子を持って蜻蛉に近づいていった。
「ただいま家畜よ。元気にしていたか?」
相変わらずの蜻蛉だが、さりげなくカルタにお菓子を渡していた。
「お土産だぞ」
「わーい」
餌付けされているようだが、皆気にしない。
「あれ〜?キミだ〜れ?」
「……おい残夏、ぶっ飛ばすぞ」
「いや〜ん、こわ〜い♪」
ふざける残夏に危機的状況に陥っている銀は、残夏を睨みつけた。
「え、お前コイツと知り合い?」
「え〜?ボク知らな〜い」
「……俺には味方いない訳ね……」
ずーんと落ち込む銀が流石に可哀想と思ったのか、残夏が「うそだよ〜♪」と言った。
「この男の子は銀たんだよ」
「「……は?」」
「銀ちゃん男の子?」
「妖怪になった時だけね〜。だから狼『男』なんだよ〜」
野ばらは完全に固まり、連勝は何回か瞬きした。
「えっと……銀?」
「そうだよ。悪ィかよ」
「まさか銀って……男?」
「だから今だけって言ってんだろーが」
ショックから少し立ち直れていない銀は何処か元気がない。
「じゃあ……おかま?」
「それも違う」
「じゃあ何よ?」
「知らねーよ。俺が一番知りたいわ」
連勝も混乱する中、漸く晋助が助けに来た。
「そいつは元は男だが、普段は女になってるんだよ。まぁ銀時には変わりねェがなァ」
「「銀時?」」
「そいつの事だ。なァ銀時ィ?」
「話ややこしくさせんじゃねェよチビ」
「チビ言うな」
性格や雰囲気が少し変わっている晋助に驚きつつも、もう一度この状況を確認することにした。