銀色×僕SS

□第十四話
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 晋助の頭の中には色々映像が流れて来た。

だが、自分でやめてしまう。

けれど勝手に流れてくる。


 知らない。

何だよ戦争って。

何でこんなに血が流れてんだよ……!!


 思い出したくない。

あの人も、アイツも死んだことなんて……。


 そこでハッとした。

 あの人って誰だ?

アイツって誰だ?



 己は、いつのことを思い出そうとしている?


『晋助、テメェ今で良かったな……。前だったら双熾死んでたぞ……』


 今?前?

前っていつだ?

何で、何でこんなに銀が男の姿になると頭が痛くなる?

どうしてか、闘う姿を見たくない。


『白夜叉』


 白……夜叉?

誰だよ、夜叉?

人間じゃないのか……?


『俺、は、人間だっ!!』


 ―――――――そうだ。『夜叉』は人間だ。

己たちが大切だった、あの人の息子の――。

 その夜叉は誰?あの人?



『――は俺達の大事な弟だ』



 弟?己は一人っ子だからいないはずだ。


しかも俺『達』?


他に誰が……?



『ありがとう晋助!!小太郎!!』

『良かったですね――』

『うん!!――先生も有難う!!』



 誰だ?この幼き者と先生と呼ばれた優しげな声の持ち主は。



顔は靄がかかって見えない。


 待てよ?



『小太郎』?



小太郎って……。あの、長髪の?

確か桂 小太郎であだ名が



『ヅラ!!』

『ヅラじゃない桂だ!!』



 何でだ?

何で幼い頃の俺がアイツを知っている?

 何故だ?




思いだせない。


思い出したくない。


矛盾しすぎて分からない。





「晋助!!」

『晋助もあそぼーよ!!』

「っ!!」

 何故あの幼き者と目の前の青年(元少女)が重なる?

何故だ?

銀と会ったのは7〜8歳の時。

だが、この少年もそれ位……。

 自分に笑いかけてくるのは?

ボロボロになって泣いているのは?

 何だ?

何が違って何が正しい?




『……晋助様。白夜叉……坂田――の見舞いに行かなくて』



 見舞い?

誰?さっきから名前が上手く聞き取れない。


それにこの金髪の女は誰?



『……アイツとは縁切ったんだ。俺には関係ねェよ』




 嘘だ。


ホントは凄く行きたかった。

ただ、アイツの苦しむ姿を見たくなくて。

それで、すぐまたひょっこり治って暴れてると思ってた。

ただ単に、自分も意地はって行かなかった。

 でも、アイツは死んだ。

アイツの大切な奴等にみとられて、あの人と同じ所に行ってしまった。




 誰だ?

死んだあの二人は―――――誰だ?



『……晋助。――は、最後は笑っていたぞ』

『……だからなんだってんだよ』

『!!アイツは!――は!目が覚めなくとも、意識はあったはずだ!リーダーも新八君も俺も辰馬も!皆アイツがいつか返事をしてくれるのではないかと!!そう願って!!』

『だが、結局死んだんだろーが。……ヅラ、俺がアイツに会う資格はねェよ』

『そんなわけ……』

『もう、良いじゃねェか。どうせ俺達は――を護れなかった』

『しん……すけ……』

『俺達が守るって、言ったのにな……』



 あぁ。

護れなかった。







自分だけ勝手に狂って、アイツの傍にいてやれなくて。

一番苦しかったアイツに、何もしてやれなくて。

 何が、兄だよ、何が幼馴染だ。




馬鹿だよ。



俺も



アイツも



全員、バカだ……。






 そんな感情が流れて来た。






「っあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!」






 知らない


知らない。


何が?どうなってる?

前って何?

幼馴染って?

何で桂が!?

 何で坂本が!?



アイツと会ったのは最近のはずだ!!


「知らねェ!!知らねェハズなんだ!!」

「おい!!落ち着け!!」

「知らねェ!!知らねェよ!!あの人なんて!戦争なんて!夜叉なんて!弟なんて!!」


「!?!?晋助?!まさか記憶が――」



 記憶?


なんの?


いつの?


どこでの?


どんな?


だれとの?



 知らない。



白夜叉?


弟?



知らない。



戦争?


知らない。




知らない





はずなのに。



 苦しい。

悲しい。




泣きたい。




「晋助。苦しいなら、思い出さなくて良い。だから、落ち着け。な?」



「おもい、ださ、なくて……いい?」

「あぁ。だから、心配すんな」



 銀が優しく微笑んだ。



心配させまいと、安心させるように作る笑み。

あぁ、この笑顔知っている。

何度か見たことがある。



どこだ?どこなんだ?



また、頭が痛くなる。


「っ!!ぐぁぁ!!」



「いいよ、晋助。何もお前は知らない。お前はただの15歳。陽雷家に生まれて、小学生の時に俺達と会って仲良くなった。俺の弟的存在。な?いつも通りだろ?」



 晋助は頭を押さえながら頷く。


「それで、いいんだよ。お前は、それで良い」



 銀が晋助の背中を撫でると、さっきまでの痛みが嘘のようにすぅっと引いていった。



 だが何故が、モヤモヤと何かが残る。



「大丈夫か?」

「大丈夫……。銀、あの人ってだれだ?弟って?俺、弟なんていた……?」

「……多分、混乱してるだけだ。何も思い出すな」

 あやすような声が聞こえ、だんだん落ち着いてきた、その時だった。




「かえったわよーってなによコレ!?」

「ヒドイあり様じゃな」



 メイドの月詠とあやめが買い物から帰ってきて、荒れているラウンジを見て驚いていた。




「何があった……ん、じゃ……!!」

「え、う、うそ……」



「?おー、お帰り月詠にさっちゃん。あー、因みに俺は――――」

















「「銀さん/銀時……?」」







    
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