銀色×僕SS
□第十二話
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「ここのケーキ屋結構おいしいんだよ」
少しご機嫌な銀に、凜々蝶は内心ガッツポーズをした。
「(よし!これでさりげなく好みを聞き出せば!!)」
「ん?どうしたの凜々蝶」
「なんでもない。……銀、おすすめのケーキはあるかな?」
銀は少し悩んだ後に、笑顔で「全部」と答えた。
「それじゃあ意味がないだろう!?」
「だってここ全部うまいよ?」
凜々蝶はどうするべきか悩んでいると、店の奥から出て来た女の店員が「あら?銀ちゃんじゃない」と、声をかけた。
「また来たの?好きだねぇ、ケーキ」
「ケーキじゃなくて甘味が好きなの」
「はいはい。……おや?今日は晋助君はいないの?」
少し残念そうな店員に「ごめんね」と言って謝った。
「今日は晋はお留守番」
「晋助君が来るだけで繁盛するのに。二人が来るたびに、お客が何倍にも増えるってのに。あの癒しの空間を求めてくるってのに……!」
「はいはい」
苦笑しながら宥める銀をよそに、ニヤニヤとした男たちが凜々蝶に近づいた。
「君。チョーかわいいね〜」
「ねえねえ、ちょっと一緒にお茶しない?」
5,6人の男どもに囲まれた凜々蝶は、恐怖を覚えることはなく、凛としたまま断った。
「大丈夫だって。ちょっと一緒にお茶するくらいだろー?」
「その後少し遊んでも良いけど」
「断る。僕は君達のような奴等に構ってる暇はない」
凜々蝶がいくら断っても、攻め寄ってくる男たちに五月蠅いとは思いつつも、適当にあしらう。
「っ来いって言ってんだろ!」
しびれを切らした男が凜々蝶の手首をつかんだ。
その痛さに若干顔をしかめるが、凜々蝶にとって『人間如き』敵ではない。
だが、ここで変化するわけにもいかない。
少し抵抗はしたが、力が足りず引っ張られていく。
とうとう店から出てしまっていた。
どうしようかと迷った時
「ごめん、お兄さんたち。その子、私の連れなの。放してくれる?」
銀が男たちに声をかけた。
「へー、この子と友達?君もなかなか可愛いね」
「……そりゃどうも」
褒められたはずの銀の顔は、あまり嬉しそうではなかった。
というか、何処か怒っているようにも見えた。
「君も一緒にお茶しn「断る」え……?」
銀がいきなり声の音程が変わったのに驚く男達。
「日本語通じてねェのか?そいつは俺の連れだから放せっつったんだよ」
「な、テメェなんだよ!?」
「良いから放せ」
男たちは素直に放すわけもなく、逆にニヤニヤし始めた。
「そんなに照れなくともいいんだぜ?な?仲良くしようぜ?」
男の一人が銀の肩にポンッと手を置いた瞬間、男が吹っ飛んだ。
「触んじゃねーよ、気色悪ィ。攘夷浪士気取りかコノヤロー」
銀が男口調で軽く睨み返すと、男たちは怯んだ。