銀色×僕SS

□第十一話
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 バスを降り、銀はどこかに電話した後、買い物へと向かった。

「じゃあ先に凜々蝶の方から買おうか」

「僕の方は食べ物だから後で良い」

「あ、そっか。じゃあ先に私の買い物に付き合ってくれる?」

 凜々蝶は「いいだろう」と言った。


 向かった先はアクセサリー屋。

綺麗な物がたくさんあった。

「君はこういうが好きなのか?」

「いや、全然?」

「はぁ?」

「だって、あんまりこういうの邪魔でしょ?」

「じゃあ何故来たんだ」

「ちょっとしたプレゼント」

 凜々蝶は納得した。

誰か大切な人にでも、あげるのだろうか?

「いらっしゃいませ〜」

 女の店員さんが笑顔で迎えてくれた。

 ずらりと並ぶイヤリングやネックレスに、思わず目を奪われた。

「さて、凜々蝶だったら、どんなのが良い?」

「どうして僕に訊くんだ?」

「だって他の人の意見って必要でしょ?」

 それも一理あると思い、答える事にした。

「この指輪はダイヤモンドがちりばめられていて、小さくて綺麗だ、とでも言っておこうか」

「ふーん……、こういうの好きなんだ?」

「別に一般論を述べただけだ」

 凜々蝶は次々と見て回った。すると

「あ……」



 ある一つのネックレスに目がいった。



それは大きなルビーがつけられた、シンプルなネックレス。

 何故がそのネックレスが銀に似ていると思った。

銀の紅い瞳は、このルビーのように透き通っている。

しかも、周りの鉄が、銀髪のように、光の反射して輝いていた。

飾っている訳でも無いのに、いたってシンプルなのに心を奪われる。

「ん?凜々蝶はそれが好きなの?」

「!?あ、いや、そう言う訳では……」

「ふーん……。すいませーん!これ下さ〜い!」

「ぎ、銀!?」

 いきなり店員を呼んだ銀に少し慌てる。

「ま、まて!人にあげる物をそんな簡単に―――」

「いーのいーの。私もこれが良いと思ったし」

 そう言って店員とプレゼントがどーのこーのという話をしていた。

 それにしても誰にプレゼントするのだろうか?


もしかしたら彼氏でもできた、とか?


それなら連勝などの男の意見を聞けばいい。


なら友達だろうか?




「凜々蝶〜、終わったよーって、どうしたの?」

「な、なんでもない。次は何処だ?」

「じゃあ次は―――」

 そう言っていろんなところを回っていった。

 家具から服までいろんなものを買った。

「あとは―――」

 銀がふと止まる。

するとその先には






駄菓子屋。




「なんだ、駄菓子が欲しいのか?」

「そう言う訳じゃないけど……ちょっと見てっていい?」

 そう言って小さな駄菓子屋に入った。

すると中にいた店の人らしきおばあさんがこちらを見て「いらっしゃい」と笑顔で言った。

「珍しいお客さんだこと。駄菓子、好きなのかい?」

「甘いものが好き。……あれ?」

 銀がふと首を傾げた。

「おばちゃん、ここすっからかんだよ?」

「ん?あぁ、そこに酢昆布があったんだけどねぇ。常連のお嬢ちゃんが毎回買ってっちゃうんだよ」

 酢昆布とはそんなに美味しいのか?と思ったが、銀が眼を軽く見開きおばあさんに詰め寄った。


「その子どんな子だった!?」

「え?!あ、あぁ。小柄で元気な子だよ。……まあそれ以上は言えないね」

「……そう、か……ありがと、おばちゃん」


 そう言って飴玉を数個買った。



「おや、あんた……」



「?私が何か?」

「……いや、気のせいだね。ごめんよ。……250円だよ」

 銀が丁度で払うと、受け取って「毎度あり」と言った。

「これ、おまけだよ」



 おばあさんがくれたのは酢昆布だった。



   
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