銀色×僕SS

□第六話
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 自己紹介などをして、雑談しながら屋上に向かう。

 屋上につくと、5人は早速お弁当を―――とはいかなかった。

『テメェうぜぇんだよ!』

 ガンッ

 何人かの不良が『何か』を蹴っていた。



「……気に入らねェ」


 それを見た銀は、1人の不良の肩をつかんだ。

「……ねぇ、何してるの?」

『あ゛ぁ?誰だ、テメェ?』

 銀は不良の足元を見た。

するとその『何か』は小柄な少年だった。

 その銀の行動が怖くて目を背けたのと勘違いし、不良は笑った。

『おいおい、強がんじゃねーよ。テメェもこうはなりたくはないだろ?』

「……たす、け、て……」

『ウッセェよ!』

 銀は下を向いたまま、答えた。

「そうね。こんなふうにはなりたくない」

 すると少年は少し涙目になった。

 不良はまた笑った。

『だったら早く行きな』

「えぇ。だから」

 そう言って銀は不良に微笑み、すぐさま真顔になって蹴り飛ばした。

 不良たちも、少年も、辰馬も驚いてみていた。

 小太郎と晋助はため息をつき、連勝は

「おー」

 と言って観賞していた。

「こうすることにした」

 銀は不敵な笑みを浮かべた。

『て、テメェ!なめやがって!』
 不良の拳を避け、腹を殴る。

 そしてバットで殴りにかかる不良の手首をつかんでバットを奪い取り、そのバットで逆に殴る。

「まぁ、少し違うけど、無いよりましか」

『何をごちゃごちゃと!』

 また来る不良に、バットを(木)刀がわりに使って、昏倒させていった。

 その光景を呆気に見る辰馬。

「あ、あの子強いぜよ……」

「銀をなめんじゃねェ。どこで習ったか知らねェけど、剣術がつかえんだよ」

 小太郎は心の中で「松陽先生にお前も習ったんだ」と言った。

『おい!それ以上来たらコイツを落とすぞ!』

 見ると不良が少年を策の所にくっつけ、落ちそうになっている。

 銀は顔には見せないものの、内心舌打ちをした。

『分かったらその武器を放せ』

「そうしたらその人離してる?」

『その後に土下座したら考えてやる』

「んな事銀にさせられるか!」

 銀が「晋!」と言って軽く睨むと、晋助は引き下がった。

「それでいいのね?」

 そう言うと銀はバットを投げ捨て、その場に正座した。

 そして床に手を添えて、頭を下げようとしたところで、不良は銀を押さえつけた。

「ちょ、何する―――――――!?」

 そして


『おっと手が』


 と言って少年を突き落した。


「「「「「なっ!?」」」」」


 そこで銀は動いた。

 抑えつけられている手を振り払い、柵にいる不良を避けて、少年の手をギリギリつかんだ。

 だが今の銀の身体は17歳の少女。

 前のように成人男性であればこれくらい大丈夫だが、いくら戦えても、1人の少年を支えられるわけもなく、銀も一緒に落ちそうになった。

「っ!!」

 ぎりぎりで耐えている所に不良はにやりと笑って、銀の足をはらう。




『一緒に落ちろ』


「うわっ!?」








 その拍子に銀も少年と落ちた。


 
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