銀色×僕SS

□第五話
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 お昼休みになり、皆が昼食をとる、と言った時に、晋助の周りに一斉の人だかりができた。

『ねぇねぇ陽雷君!一緒にお弁当食べない?』

『何言ってるのよ!晋助君は私と食べるの!』

『女子は引っ込んでろ!なあ男同士で食べようぜ!』

 そんな中、晋助はとても嫌そうな、迷惑そうな顔をしていた。

「……悪いけど、俺先約あるから」

『先約って……あの美人の転校生の先輩か!?』

「……それって――」


 ガラッ


「晋ー。いるー?」

 そう言って入って来たのは銀だった。

 その後ろには連勝もいる。

「……連勝、晋いないみたいだから二人で食べ――」

「ちょ、銀!」

 晋助が席を立って銀のもとに行った。

「え、だってクラスの皆と食べるんじゃないの?」

「違ぇよ」

 そんな事を話していると、視線を感じた。

『めっちゃ美人……』

『あれが転校生の先輩……』

 ぼ〜っと皆が銀に見惚れる。

 銀はよく分からなかったが、一応自己紹介をしようと思った。

「えっと、転校してきた天狼聖 銀です。よろしく」

 銀が教室を見渡すと知っている顔が二人いた。

 そのうちの一人が駆け寄ってくる。

「銀姉!?なんで此処に!?」

 それは卍里だった。

「久しぶりー。弱虫たぬ吉君」

「たぬ吉じゃねェし、弱虫じゃねェ!俺はワルだ!」

「はいはい、いじっぱりだねー君は。強がりにならなくても良いんだよ、卍里」

「っ!強がってねェよ!///」

 卍里がギャーギャーと言う中、銀は笑いながら軽くあしらう。

 そしてふと凜々蝶と目が合った。

「……久しぶり、凜々蝶」

 銀が静かな声で言った。

「……はっ。転校してまた戻って来たのか?わざわざご苦労だな(こんな事言いたいんじゃないのに!)」

 凜々蝶はまた悪態をついてしまい、ハッとする。

 銀は一瞬悲しそうな目をした。

 が、直ぐにいつもの顔になる。

「まあね。いろいろ事情があって。……行こっか。卍里と晋はどうする?」

「俺はカルタたちと食べる」

「……行く。ちょっと待ってろ」

 そう言って晋助は、カバンの中から弁当を取り出して凜々蝶をぎろりと睨んだ後に、銀と連勝と一緒に教室から出て行った。



 
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