銀色×僕SS

□第一話
1ページ/3ページ






『目覚めよ。勇敢に戦った、亡き勇者よ』

 俺の頭にぐわぁぁぁぁんと声が聞こえた。……あれ?閻魔様ドコ?

 そうか。これは夢か。いやー、死んだ後も夢って見るんだなー。

 ……寝よう。

『目覚めよ。勇敢に戦った、亡き勇者よ!』

 あー、いやな夢だなー。早くさめねぇかなー。
 覚めたらきっと先生の顔があるんだよ。先生どんな顔するかなー。

『おい!目覚めろ!っつーか寝直すなこのテンパ!』

「んだと!テンパを馬鹿にすんじゃねーぞオラァァァ!!」

『フッ。引っ掛かったな、馬鹿め』

「は、何が?ってことで」

 俺はその場にねっ転がった。

「おやすみ。今度は邪魔すんなよ」

『あ、はい、すいませんでした』

 お、納得してくれたな。よし。俺は再び悪夢から覚めるように寝よう!



『ってちっがァァァァァァァァァァァァァァァァ――』



「ウルセェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!」

『お前もだァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』

「キャサリンと同じような台詞言ってんじゃねェェェェェェェェェェ!!」

『知るかァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』

「つーかお前さっきから最後が全部『ア』になっててウゼェ」

『お前もさっきから最後『エ』だろうがァァァァァ!!ってまたかァァァァァァァ!』

 結局全部『ア』かよ……。メンドくせえな、おい。

「んで?お前誰?」

 実はこのおっさん、会ったことがない(今更だが)。

 周りは真っ暗で他には特に何も見えない。声的に俺の知っている奴じゃなかった。

『うむ。よくぞ聞いてくれた勇者よ!』

 いや、だから勇者じゃねぇし。

 ……って言ってもぜってぇコイツ聞かねえよなー。




『私はこの世の神である!』




 …………はい?


『あれ?聞こえてなかったのかな?……よくぞ聞いてくれた勇者よ!私は―――』

「黙れテンパを馬鹿にしたクソ自意識過剰詐欺男」

『ひどっ!?っていうか最後漢字しかないじゃん!』

 しょうがない。これは本当の事だし。

『あと自意識過剰ではない!私はお前の住んでいた世界の支配者ともいえる神だ!』

「……お前病院行って来たら?」

『だから違うって!』

 あー……こりゃ重症だ。

『……まぁいい。これからいう事をよく聞くがよい』

 何で上から目線?

『お前を今からどこかに転生させようかと思う』

「転生?俺を?」

 神と名乗るオッサンは「うむ」と言った。

『願ったのであろう?転生してまた会う事を』

 確かに思ったけどさぁ、普通言う?本人に向かって『転生させよう』とか言う?

 普通起きて、「あれ?俺死んだはずじゃ?」的な感じにならないワケ?

『そんなマンガみたいな事はしない』

「これ原作マンg―――」

『NGワードを言うな!』

 あ、NGワードなんだ。

「だが、まだ神楽達は死んでねぇし、俺だけ転生されても困る。第一何処に転生すんだよ?」

『転生する場所は……




 な・い・しょ♪』

「おえっ」

『今のがヒントだ……って吐くなァァァァァァァァ!』

 いや、だってキモかったんだもん。

『まあそういう事だから』

「いや、どういう事?」

『んじゃあまた立ち上がるのだ!勇者よ!戦え勇者!』

「お前メンドくせェ」

 つーかコイツ何で勇者って言うんだ?

『良いではないか。……さて、もう1つの質問に対する答えだが……』

 もう一つの質問って……。あぁ、神楽達の事か。

『確かに今は死んでいない。だが他にも転生させるものはいる』

「誰だよそれ。もう死んでいる奴って事か?」

『そうだ。……その人物は、転生してからのお楽しみだ』

 なんじゃそりゃ。

『それとお前の幼馴染や、大切な者たちが全員転生するとは限らん』

「マジか……」

『だが、出来るだけしよう。それがお前の望みだろう?』

 確かにそうだが……。なんか心の中読まれた気分だ。

『実際読んでいるがな』

「マジで?」

『マジだ』

「うそーん」

『うそじゃなーい』

 なんか今の返し方ウザったい。

『いや、だから聞こえてるから』

 そうだった。

「んで?俺の他の奴は転生後、前世っつーか俺とかの事覚えてんのか?」

『……それはその者達次第だ。覚えているか、覚えていないか。それは分からん。だが覚えていない方が多いかもしれん』

「そっか……」

 それでも、俺は良いと思った。またあいつ等と会えるなら、それで良い。

 例え俺の事を覚えて無くても、また笑顔で会えたなら、俺ァそれで良い。

 あいつらが笑って生きてくれりゃあ良いんだ。

「分かった」

『流石勇者だ。では早速転生してもらおう』

 無理やりだな、おい。


『では行くぞ。




 The tennsei!』

「そのまんまかよ!」

『いや、今の練習』

 どんな練習ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!?

『行くぞ。Until I transfer you……

 3、

 2、

 1


 ………Have a nice day!』

 パチン、と指を鳴らすと俺は光に包まれた。



『因みに言葉を言わなくとも、指を鳴らせば本来転生できる』



「いちいちカッコつけんなァァァァァァァァァァァァァ!!」




 俺はそこから消えた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ