気づいた時には……

□十三話 これまでの経緯
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 黒夜叉が仲間だと分かり、一安心した所で1つまだ謎が解けていなかったことに気づき聞いてみる事にした。

「のう、黒夜叉さん」

「なんだ、『桂浜の龍』」

「辰馬で良いぜよ」

「……なんだ、辰馬」

「なき(なんで)悪役を演じたり、先生を捕まえたりする必要があったがだ?」

 黒夜叉は少し考え込んだ後、口をゆっくりと開いた。


「少し待て」

 そして数秒後、一瞬だけグニャリと歪んだ気がしたが、すぐに元に戻った。

「今幻術をはった。監視されていたら困るからな」

 一瞬変な錯覚に陥ったのは、幻術をはったから、らしい。

「それで、何故我が松陽さんを捕まえる必要があったか、という事だったな」

 四人は真剣に耳を傾ける。

松陽はゆっくりとお茶を飲んだ。

「先程も言ったが、我は天導衆は天導衆でも、反乱者だ、と言ったな」

 四人は頷く。

「天導衆の中心だともいえる幹部は全部で12人。
上から

アインツ、
ツヴァイ、
ドライ、
フィア、
フュンフ、
ゼックス、
ズィーベン、
アハト、
ノイン、
ツェーン、
エルフ、
ツヴェルフ。

ドイツ語で1から12だな。それは本名ではなく、単なるあだ名のようなものだと思ってくれ。勿論アインツが一番上で、ツヴェルフが一番下だ。

我は2だからツヴァイだ」

 黒夜叉はかなり偉い人らしい。




「あぁ。言い忘れていたが、我の名は黒夜叉ではないし天人ではないからな」





「「「「はい?」」」」

「?知らなかったんですか?」

「「「「知りませんよ!!!」」」」

「一般公開にされては困る」

 黒夜叉は大きくため息をついた。

「では見せてやろう」

 黒夜叉はニヤリと笑った。

そして首のあたりをがっと掴むと、べりべりっと剥がしていった。

奇妙な緑色の肌が剥がれれて、白に近い肌色が見えた。

濁った赤茶のような瞳は澄んだ青色に変わり、白く長い髪の毛は腰まで伸びる燃えるように赤い髪の毛へと変わった。

尖った奇妙な歯に不気味な口は普通の赤みのさした唇に変わった。

年は松陽と同じ位で、クールな感じの美形な









………女性。




「「「「……は?」」」」



「これが我の本当の姿だ」

 そう、女性なのだ。

男でも大分低かった声が、急に高くなった。

大人っぽい声、と言うよりも、鈴が鳴っているように可愛らしい声だった。

 長いまつげに艶のある唇にすっとした鼻。

どこからどう見ても女性である。

「え?ちょっと、え?黒夜叉さん?あの、女の方だったんデスカ?」

「あぁ。そうだ。どうだ、今までの姿が仮の姿で驚いたか?」

「……なんというか……人だったと言うよりも性別が……その……」

「驚きすぎて言葉も出ぬか」

 ハハハッと笑う黒夜叉に、まだ状況が理解できず目をぱちくりさせる四人。

そしてのほほんとゆっくりお茶を飲む松陽。

「我の名はツヴァイ。またの名を黒夜叉。……と言うのが一般的で、本当の名は新島 千代。我は父が天人で、母が人間の子、つまり


天人と人間のハーフだ」


  
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