気づいた時には……
□八話 これからの道
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小太郎のアジトに一旦行った四人は、エリザベスにお茶を貰い、ゆっくりと飲んでいた。
因みにそこにいた攘夷志士達は、快く受け入れてくれた。
前は晋助を警戒していたが、飲みに来るうちに、案外怖くなく、小太郎と仲直りした、という事で今は結構仲が良い。
銀時は、この姿を見て何か言われるのかと、追い返されるのではないかとビクビクしていたが、そんな事はなく、逆に心配してくれた。
銀時は涙が出そうになるほど、心が温かくなり、嬉しかった。
元から銀時は慕われていた為、嫌われるなどおりえないのだが。
「銀時、そう言えば攘夷に戻らぬか?」
銀時は位面影で下を向いた。
「……俺は鬼だから、お前らとなんか一緒にいちゃいけねェんだよ」
「はぁぁぁ」
溜息をついたと思ったら突然晋助が銀時の髪の毛を思いっきり引っ張った。
「い、いてててててて!痛ェって!放しやがれ!」
「おい、角は何処にあんだ?あ゛ぁ?この天パの中の何処に角があんだ?天パが酷すぎてわかんねェなァ」
「痛ェって!角なんてあるわけねェだろーが!」
「あ?何でだ?」
「『人間』だからに決まってんだろーがァァ!テメェも角なんざねぇだろうがァァ!」
すると晋助は満足そうにニヤッと笑った。
そして手を放した。
銀時は頭を押さえて、余程痛かったのか涙目になっていた。
「銀時ィ、お前自分で人間だって認めたなァ?」
「!?そ、それは……」
「だったら人間なら俺達と一緒に来ても良いんだろ?来い。テメェは俺達の大事な幼馴染なんだよ。それともなんだ?まだ拒否るか?鬼鬼うるせェんだよ。それ以上言ったらその天パ、もっともじゃもじゃにすっぞ、白髪天パ」
「なっ!誰が白髪だ!銀髪だっての!この低杉!」
「止めんか二人とも」
「「ウッセェヅラ!」」
「ヅラじゃない桂だ!」
「アハハハハ!子供じゃのう」
「「「黙ってろ、馬鹿本!」」」
「アハハハ。……泣いていい?」
四人は騒ぎ出した。
だが言い争った後に皆して吹き出す。
「あー!何か久しぶりな気がするわ」
「……銀時、もう一度聞く。俺達と一緒に、攘夷に戻らないか?」
すると少し考えた後、ぽつりと
「お前らが良いなら」
と言った。
「バーカ。良いって言ってんだろーが」
晋助が言うと銀時は照れくさそうに笑った。
「……じゃあ、戻ろう、かな?俺は他に行く場所もねぇし……な」
銀時は悲しそうな目をした。
そこで小太郎が「銀時」と言った。
「お登勢殿からの伝言を預かっているぞ」
銀時の肩がびくりと動く。
「いつでも帰ってこい。それと護ってやれなくて悪かった……だそうだ」
銀時が驚いたような顔をしていた。
「因みにたま殿もお前を信じると言ったそうだ」
「良かったじゃねェか銀時ィ」
「おんしには居場所もいぬる場所もあるぜよ」
「……ババア……。ったく、俺が護ってやるんだっつーの」
銀時に前と同じような優しい笑みが残った。
「それとなァ、銀時。土方の事だが」
「……幕府の狗がどうかしたのか?」
「あいつ、俺と戦っている時になァ、『早く逃げろ。今回だけは見逃してやる』って言ったんだよ」
小太郎と辰馬は眼を見開く。
「今回だけって事は次はねぇな。だから、アイツも言ってたろ?もう現れるなって」
晋助は真剣な顔で銀時を見た。
「だからもう、辻斬りなんかすんな。
もう、テメェは1人じゃねェ」
「俺達は戦友であり、
仲間であり、
幼馴染だ」