気づいた時には……

□六話 救いの手
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 銀時が辻斬りの犯人だという情報はもちろん他の幼馴染、晋助と辰馬の耳にも入っていた。

 二人は急いで地球へと向かった。

 そして小太郎のアジトへと急ぐ。

「おいヅラァ!どういう事だァ!」

 いきなり入って来た晋助に、先にいた辰馬が、静かな声で晋助に言った。

「まず落ち着くぜよ」

「落ち着いていられっか!んでだよ!あのガキどもはどうした!何処にいる!?」

「……今話してやるからまず座れ、晋助」

 晋助はとりあえず座った。

 それを見てから小太郎は銀時に起こった出来事を順に話した。


 まず真選組が万事屋に来て、皆が銀時の事を信じなかった事。

 銀時が神楽達を傷つけた事。

 銀時がそこから行方不明になって、辻斬りを始めた事。

 ……『屍を喰らう鬼』と呼ばれ始めた事。

 お登勢とたまが銀時を信じた事。

 晋助も辰馬も静かに聞いていたが、やがて辰馬が口を開く。

「……銀時の予感は当たってしもうたんじゃな」

「なァあの時、銀時が鬼兵隊に入っていれば、こんな事にはならなかったのか?」

「……さあな。だが、今はそう言っている場合ではないのだ。銀時を、救わねばならんのだ」

 晋助と辰馬は頷いた。

「アイツを救えるのは多分、俺達だけだ」

「そうだな。アイツは俺達の幼馴染だしな」

「き――銀時を絶対救い出して見せるぜよ」

 三人は情報集めをして、銀時を救う方法を探した。

 暫く晋助と辰馬も地球にいる事にした。

 早く銀時を見つけ出そうと必死だった。

 これ以上壊れさせない。

 お登勢とたまの為にも……。

 だが、探しても、探しても、銀時は見つからない。

 何日もたってしまう。

 探す、と言っても銀時は神出鬼没。

 いつ、どこに会わられるか分からない。

 ふらりとあらわれ、ふらりと消える。

 いつもそうだった。

 自分たちに何も言わずに消えていく。

 言うのが恥ずかしいのか。

 それとも心配かけまいとしてるのか……。



「ぜってぇ見つけ出す……!」

 晋助がそう言うと小太郎と辰馬も頷いた。

「もし見つけたら一発、いや百回くらい殴ってやる」

「それ、銀時死んでしまうぜよ……」

「……じゃあ九十九回」

「一回しか変わらんぜよ」

 銀時が見つからない苛立ちの所為か、ボケとツッコミが逆になっている二人。

 どっちかと言えば辰馬はボケなのだが、ツッコミに回っている。

 小太郎は少し感心した(\゛(−−;)オイ)。



「晋助、その気持ちも分かるが、押さえろ。まずは見つけてからだ」



 小太郎は二人を止めた。


「ここは平等に皆で殴ることにしよう!」


「そう言う問題なのか?」

「貴様一人で殴るのは納得がいかん。だから皆で千回ずつだ」

「……一番ヅラが恐ろしいぜよ。というか増えてるぜよ」

「ヅラじゃない、桂だ」

 小太郎はため息をついた。

「殴るのも、説教するのも、パシリにするのも、全て見つけてからだ」

「銀時、逃げるぜよー。本物の鬼は此処にいるぜよー」

「ヅラの説教と、殴るのと、パシリと、あと串刺しは当然だな」

「こっちにもいたぜよ!?」

 そんな会話をしていても、心配なものは心配だった。



 だから探した。

 三人はとにかく白夜叉は知らないか、と聞きまわった。

 誰も、鬼の事は知らない。

 恐ろしくて考えたくもない。

 そう答えた。



 一体この町に何が起きたのだろう?



 何故銀時が鬼と呼ばれている?

 真選組は銀時が白夜叉だととっくに知っている、と言っていた。

 だが、捕まえるのを止めた。



 なのに今更?

 銀時が辻斬りなんてするはずない。

 あの人を殺めるのが嫌いな優しい銀時が……。
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