気づいた時には……

□五話 わずかな光
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「そんなにこの人間を放してほしいか?」

 銀時が言う。

「当たり前だ!日輪様を放せ」

「あっそ。じゃあ返してやるよ」

 銀時はそう言うと日輪に「しっかり捕まっとけ」と言った。

 すると銀時は思いっきり車いすを蹴った。

 日輪はその勢いで真選組や百華たちの方へもう突進していく。

 日輪には止めることができない。

 だが言われたとおりに車いすにしっかり捕まっていた。

 結局誰にも止められず、壁に激突し、日輪は車いすから落ちた。

「ひ、日輪様ァァァァァァ!?」

 吉原の皆が駆け寄る。

 月詠が日輪を起こした。

「日輪!しっかりしなんし!」

 日輪は頭がもうろうとしてしゃべれない。

「……銀時、貴様ァァァァァァァ!」


 やめて、あの人を嫌いにならないで。


日輪は心の中で叫んでも届かない。

「いくら主であろうと、これは許さぬ!」

 月詠はクナイを構えた。

 銀時はニヤリと笑う。

「へぇ〜?許さない?だったら殺ってみる?」

 そして二人は戦った。

 月詠はクナイを投げ、銀時は刀で弾く。

 そしてその隙に首に刺そうとするが、銀時に気付かれてしまう。

「(あぁ、もう止めておくれよ。どっちが死んでも、傷ついても、あたしは嫌だよ……)」

 そこで日輪の意識は途絶えた。

「日輪様!?日輪様!」

 いくら叫んでも日輪は起きない。

 それに周りに火が付く。


「鬼め!」

「白夜叉許さない!」


 銀時はめんどくさそうに言う。

「放せっつったのはてめーらだろーが。うっせぇガキどもだなァ。それに俺は人間が嫌いなんだよ。特にその日輪とか言う女はな」



「母ちゃんの事を悪く言うな!」


 そこで出て来たのは息が切れている晴太。

 晴太は銀時に向かって叫んだ。

「おいらの家族を馬鹿にするやつは、おいらが許さないからな!」

 家族

 それは昔、晴太が銀時に向かっても言ってくれた言葉。

 なのに今は銀時は家族ではない。

 敵なのだ。





 銀時を仲間だと思ってくれる人はもういないだろう。





 ホラ、イッタダロウ?

 コワシテシマエッテ


 ツライダロウ?

 コロシテシマエ


 ニンゲンナンテ

 イツモコンナモノサ






 サア、コロソウ?



 鬼が囁く。

 銀時はなんとか耐える。




「この鬼!」




 ダレモ

 オマエナンテ

 キニシテナイ



 ダカラ

 ゼンブ










「終わらせよう」
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