銀色×僕SS
□第十六話
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神楽達は護らせてほしい、といったが、それは神楽達が気付いていないだけなのだ。
「(もう十分護られてたっつーの)」
そばにいてくれるだけで、隣で笑ってくれているだけで、暖かくなる。
それで十分なのだ。
強くなって護らなくたって、ただ一緒に道を進んでくれればいい。
そんな普通の事だけど、銀―――否、銀時にはそれが特別だったから。
自分はこんな守り方しか知らないから。皆はその笑顔で、生きてくれていればいい。
「何笑ってんだ、銀」
晋助が皿を持って不審そうに銀を見ていた。
それもなんだかおかしくて、笑うと今度はおでこにデコピンされた。
「ほら、食うぞ」
「うん」
晋助はテーブルに料理を並べて、向かい側に座った。
「「いただきます」」
一緒に手を合わせ食べ始める。
メニューは焼き魚、白米、みそ汁と言う和食の定番メニューだった。
「おーやっぱこれだよなー。豪華な食事もいいけどさ」
「銀の事だからもっと豪華なもん食いてェって言うと思ったんだがなァ」
「いつも食べてるからこういう物が食べたくなるんですぅ」
そんな会話をしながら食べていると、次々と降りてきた。
因みにラウンジに一番最初に来たのがこの二人である。
「おはよー銀に晋」
「おはよう銀ちゃん♪……に陽雷。和食食べてる銀ちゃんメニアック!!」
「おはよう、連勝、のばら」
「よォ、連勝と雪小路」
それぞれ挨拶をし、それぞれ食事をする。
カルタや卍里、残夏や蜻蛉が降りてきて、最後に凜々蝶と双熾が降りてきた。
「おせェぞ、双熾」
「私たちが早いんだってば。双熾と凜々蝶もおはよー」
「ふん。早起きだな。おはようございます」
「おはようございます。天狼聖さん、陽雷さん」
凜々蝶も悪態をつきながら挨拶をした。
「おぉ!そういえば」
いきなり蜻蛉が声をあげた。
「先日前に二人の子供に『坂田 銀時』という男を知らないかと訊かれたぞ」
「っ!?おい、蜻蛉!それ、アルアル少女と眼鏡少年か!?」
ガタンと席を立ち、蜻蛉に詰め寄る。
蜻蛉はにやりと笑っている。
「教えて欲しいか、家畜よ!!」
「家畜でもなんでもいいから早く教えろ!」
「自分を家畜と認めるとはなかなかのM!だがそれを通り越してのS!!」
「意味わかんねーよ!つーかもったいぶんな!」
「おい銀、言葉づかい」
晋助に指摘されてハッとし、少しだけ抑える。
「それで、その子供二人はどんな子だったの?」
「確か一人は礼儀正しいMで、もう一人は小さいSだったぞ?」
「そんな説明で分かるわけないでしょう!?」
言葉づかいを維持しながらもツッコんだ。
「だいたいSかMかなんて聞いてないし!!」
「貴様が分かりやすいように説明しただけだろう?まさか、かまってほしいMか?悦いぞ悦いぞ!」
「違うわよ!銀さんはドSよ!」
「貴女はどこから出て来たのかな?さっちゃん?」
「あ、貴女ですって!?そんなの銀さんじゃないわ!!銀さんならもっと私を侮じょk―――――ごふっ」
「猿t――咲織(さきおり)。いい加減にしなんし。……ぬしら、すまなかったな」
あやめを気絶させ、襟を掴んで月詠がずるずると引っ張って行った。
「……さすがツッキー……。んで?その二人にもっと特徴はなかったの?」
「特徴はよく覚えていないが、『マダオ』やら『ぷー太郎』など言っていたぞ?」
その時に前世のだれかだと確信した。それが神楽や新八かはわからない。だが、また仲間に会えるかと思うとうれしかった。
「そっか……。でもいったい誰だ?新八はメガネしか特徴ないし、神楽はアルアルくらいだろ?まさかババアか?いや、ババアだったら探さねェか……。まさか真選組……もねぇよなぁ」
ぶつぶつと呟いていると、晋助はため息をついて銀の頭をもう一度バシン、と叩いた。
「いたっ!!」
「ガキどもが心配なのはわかるが、今は食事中だ。さっさと食って学校行くぞ」
「……うん」
「どうせ、お前らの事だ。また会えるだろ」
晋助の言葉に少しだけ勇気づけられ、思わず微笑んで「うん」と返した。
きっとまた会える。
松陽、辰馬、小太郎、晋助、晴太、長谷川、月詠、あやめ……。
いろんな人にこの世界でも会えたんだから。
だから真選組にも、お登勢達にも、柳生家にも、オカマ達――はやめておこう――、かぶき町の皆にも、そして神楽と新八にもきっと会えるはず。
それまで笑っていよう。
笑って「久しぶり」って言って会えるように。
また、三人で笑い合える日が来るように願って。
「その時まで楽しみにしてるよ」
楽しそうに笑った銀を見て、何人かが顔を紅くしたことに、銀はもちろん気付くはずもなかった。
第十六話 完
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