銀色×僕SS

□第十三話
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「帰って来てみれば刀振り回して、しかもメチャクチャじゃねーか!」




「ぎ、銀……」


「銀!?」

 双熾は声は出さなかったものの、双熾も驚いていた。

そしてもちろん卍里も。

「えっ!?銀姉!?」

 卍里は何が何だか分からなくなってきたらしく、混乱していた。



それもそうだ。

今まで美少女だった銀が、美少年となり別人になっているのだから。

160cmくらいしかなかった背も20cmくらい伸びている。

すでに晋助の背も超えているほどだ。

因みに晋助の背は164cmである


「つーか木刀投げなくても……」

「走ったら間に合わねーだろーが!!目の前で殺人おかそうとしてる奴止めない訳にいかねェだろ!!」

「……今回はこいつ等が悪い」

 晋助が凜々蝶を睨むと、凜々蝶はハッとした。

銀は首を傾げ、眉をひそめる。

「凜々蝶が?何だテメーら喧嘩でもしたのか?というかこいつ『等』ってことは双熾もか?」

「あぁ。双熾が斬りかかってきたもんでな」

「……本当か双熾?」

 銀が双熾に訊くと、双熾は頷いた。

「なんでんなこと――」

「天狼聖さんが凜々蝶様を苦しめるからです」

「御狐神君!?」

「ふざけんな!そいつが銀を――」

「まて晋助」

 銀が制すと、晋助は何か言いたげだったが黙った。

「俺が凜々蝶を苦しめたとして、何で俺じゃなく晋助に斬りかかった?最初っから俺を切ればいいじゃねェか。晋助は関係ねェだろーが」

「陽雷さんも凜々蝶様を侮辱したからです」

「……ほう?それだけで斬りあいか?そーかそーか。






テメーら二人そこに正座しやがれ!」


 銀が叫ぶと晋助と双熾は大人しく目の前で正座した。

「良いか?ふざけ半分とかで刀なんぞ振り回すもんじゃねェ。もし命奪っちまったらどうすんだよ」

「「その時はその時だ/です」」

「お前らな……」

 銀は呆れた様にため息をついた。そして再び怒ろうとした時







「まぁそこらへんにしてやれ。双熾も元許嫁殿のことになると抑えきれんのだ」








 そう言って歩いてきたのは『ニヤリ』と不敵に笑った凜々蝶の元婚約者であり、双熾の元主であり、銀時と中の人が一緒のSM馬鹿の青鬼院 蜻蛉だった。

「おいまて絢愛。お前それ言っちゃ駄目だろ」

(管理人:絢愛)『気にしない気にしない!』

「ん?なんだ。放置プレイか」

「放置じゃねェし」

 銀が軽く睨むが蜻蛉は「睨んでも怖くないぞー?」と言って笑った。

「またお前帰ってきたのか!?」

「おぉ、卍里か。久しぶりだなぁ。どうだこの突然かえってくる奴!まさにドSだろう!」

「威張ることじゃないよな、それ」

 銀はため息をついた。

「というか何故君がここに?」

「ん?何だツンデレか?中々のMっぷりだな。悦いぞ悦いぞー?」

「ツンデレでもないしMでもない!それに君のワールドで語るなと何度言ったら分かるんだ!?」

「私のThe worldではない!この世はSとMに―――」

「それももういい!!」

 凜々蝶もどこか疲れた様子だった。

「こいつずーっと俺達の後着けてきやがって、ストーカーかと思ったぜ」

 ずっと、と言うのは、アクセサリー屋を出た後くらいかららしい。

「知っててこの私をほっとくとはなかなかのS!いや?追いかけられたいMか?」

「どっちでもねェよ」

 銀がツッコむのもお構いなしである。

「……で?お前等反省したか?」

「何で俺が反省しなきゃいけねェんだよ」

「いや、お前が一番反省しようね!?」


「御狐神君。君も反省しろ」

「はい。凜々蝶様」

 双熾は反省してるんだか、してないんだかわからないが、とりあえず銀は良しとした。



「晋助、テメェ今で良かったな……。前だったら双熾死んでたぞ……」



「今?前?銀何言って―――」


 すると突然晋助が顔を歪め頭を押さえた。

「晋助!?どうした!?」

「わから、ねぇが……急に、頭、が……っ!!」

「おい、大丈夫かよ!?」


 晋助は更に苦しみだし、顔色も悪い。


「なんだ、これ……。せん……そう……?変な、動物の、顔が……」



「!?それって……天人じゃねェか!!」



 銀は驚いた顔をした。そして難しい顔をした。

 凜々蝶は買い物での出来事を思い出した。


「あまんと」
「じょういせんそう」

この二つの単語は変な男たちに絡まれたとき、銀が言った言葉だ。

そして最も覚えてる言葉は――




「……白……夜叉?」





「!!っうぁぁああああ!!」


 凜々蝶が無意識にぼそりと呟いた言葉に、晋助が苦しそうに叫びだした。



『思い出せ』

思い出したくない

『思い出さないと』

嫌だ

『思い出せ』

やめろ

『己が戦った証を』

やめろ

『己が生きた証を』



 やめろよ



『己の、罪を』











「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」






第十三話 完




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