短い夢

□かくれんぼ
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「いーち、にーい、さーん…」

「かくれんぼ、かぁ…」
巡察から帰ってきたら
総司が近所の子供と
かくれんぼをしているのを
見つけた
それを暫く見ていると
総司が私に気づいて
子どもたちから離れて
にこにこ笑いながら
こちらに近づいてきた
「お帰り名無しさんちゃん」
「ただいま」
「早かったね?」
「まあね、
大して事件もなかったし」
「平和だなぁ」
つまらなさそうな顔をする総司に私ははふわりと微笑んで言う 「いいじゃない、平和で」
「総司ー、もう終わり?」 「え?あー」
「いいよ、遊んできて
わたっ…俺はここで見てるから」 忘れる所だったけど
私はいま男装中
「…ねぇ、みんな
このお兄さんも混ぜてよ」 「は?ちょ、総司?」
「うん、いいよ!!」
元気に答える子供たち
「よし、じゃあ決まり、
かくれんぼの続きをしようか」 「え、ちょ…
俺はやるなんて一言も…!」
「決まったんだから
仕方ないでしょ?」
「ええっ」
「名無しさん兄ちゃん
男なんだから諦めてやろうぜ!」
「そうそう、
この子の言う通り諦めなよ
男なんだから」
にこりと笑う総司
私は彼を思いきり睨み付けてやった
しかし彼は私が睨んだって
怖くないみたいで逆
にクスリと笑われてしまった 「じゃあ僕が鬼やるね!!
皆早くかけれて!!」
多分一番年上の子が
キラキラした目で言うから
もう逃げられない…
「いーち、にーい、さーん…」
私がどこに隠れようか
考えていると
総司がこっちに来た
「名無しさんちゃん一緒に隠れよう?」
「ちょ…総司!?」
言うが早いか
私の手を引いて
近くの草村に身を隠す
「ねぇ総司」
「なに、名無しさんちゃん?
あっ此処なら簡単に
見付からないから大丈夫だよ」 総司は至って真面目そうだ 「やっぱり何でもない」
私はてっきり
「ふーん なら良いけど」
何かしてくると思っていたので ちょっと拍子抜け
「もーいーかい?」
「もーいーよ」
鬼役の子が皆を探し始めたみたい 「あっ雪ちゃんみつけた!!」
木の陰に隠れていた子が
見付かったその後も
次々と見付かっていく子供たち残っているのは
私と総司の二人だけ
「そーじー、名無しさん兄ちゃーん? どこ隠れたんだよー」
私達のすぐ近くを
鬼役の子が通る
「ねぇもう出ていこうよ」 「しっ…今喋ったら
見付かっちゃうでしょ?」
「でもいい加減この場しy…」
突然近ずいて来た総司の顔 「ちょ 総…っ///!!」
私、総司と…
「んっ…っ///」
息が苦しくなって
総司の胸を叩く
「あれ…
もう降参?」
「…っ///
誰かに見られたらどうするの!?」 思わず立ち上がって
叫んでしまった…
「あっ名無しさん兄ちゃん見付けた!!
総司は?」
「此処だよ」
さっきの仕返しのつもりで
答えてしまった
「見付けたー」
「あーあ
名無しさんちゃんのせいで
見付かっちゃったね…」
にっこりと笑顔を見せる総司 「皆今日はもう遅いから
帰ろっか?」
「えーつまらないよー」
駄々をこねる子供達
「また今度遊んであげるから
名無しさんちゃんもね」
「本当!!じゃあ今日は帰るね!!
総司、名無しさん兄ちゃんまたな!!」
可愛いなぁ
なんて思って見ていると
「ねぇ名無しさんちゃん?」
不意に問い掛けてくる総司 「何?」
「さっきはどうして
僕の居場所ばらしたの?」
…思い出しただけで
顔が赤くなった
「あれは総司が……したから」
恥ずかしくて肝心の所が
小声になってしまう…
「僕が、何?」
「……」
答えられない…」
「口で言えないならさ」
怖いくらいの笑顔を見せる総司は 私の耳元で囁く
「実際にやって見せてよ」
無理、絶対出来ない
なら策は一つ
「そ、総司が、してよ…///」
一瞬総司の目が見開かれたけど すぐに何時も通りの笑顔に戻って 「へぇ…
僕の事誘ってるの?」
…墓穴を掘ってしまったらしい 「今夜は覚悟しておいてね?
部屋で待ってるから」
どうやら
私に拒否権はないようです
少し強引なところもあるけど
でもそんな貴方も大好き
end

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