★短編☆

□無言の頷きは肯定
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とある日の、とある幼なじみの恋の話。

「ねぇ、くれは」

『んー』

「僕のこと、好き?」

『うん、好き』

「…だよね」

赤い髪の彼……赤司征十郎が待っていた答えは、少し違う。

だが、くれはにとっては、このような返事以外に何もなかった。

『なーに、征。つまんない顔してさ』

「…ハァ」

自分のせいだと気づけ、とため息をつく赤司。

「くれは、もう一度聞く」

『なぁにー』

そう言って、赤司肩に寄りかかるくれは。

「あのさ。僕のこと、好き?」

『うん、好き』

「大好き?」

『大好きだよ〜』

赤司はさりげなくくれはの手を握る。

つかれてくれはも赤司の手を握り返す。

「じゃあ、男としては?」

『え?……どゆこと?』

寄りかかっていた体をおこし、問いかける。

「だから、友達とかそういうんじゃなく好きか、って」

『え、それは…その…』

だんだん赤く染まっていくくれはの顔。

それを見て微笑む赤司。

「何?どうかした?」

『……////』

わざとらしく聞く赤司。

反応がおもしろくて、もう一度聞く。

「僕のこと、好き?」

『………』

「そうか」

赤司の問いかけに、わずかに首を縦に振るくれは。

ただそれだけだった。

その行動を、肯定と受け取ったのだ。


僕はただきみの手を握って、きみは黙ったまま頷いて。


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