黒バス夢Book
□駅までの時間。
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部活が終わり、時刻はとうに10時を過ぎ俺は帰りの電車に揺られていた。
マネージャーである、笹原と一緒に。
そういや、最寄り駅一緒ってのと、自主練が終わってから帰ると夜遅くなって危ないと、高尾に言われてからはずっと一緒に帰ってるな、と思い出す。
その頃からだろうか。
ボールを拾ったりモップをかけたり、スコアを書き込んだり、洗濯やら休憩中の水分補給、テーピングやマッサージを一生懸命やっている姿、一軍二軍と分け隔てなく接する所とか、そういう所に目がいくようになったのは。
そういえばこいつ、前に用事があって教室に行ったら机にテーピングのやり方とかマッサージの仕方が載ってる本広げた
まま突っ伏してた事もあって、毎日夜遅くまで勉強してたんだな、とか。
そして段々、こいつを目で追うようになったのは。
「…笹原?」
ふと視線を笹原に向けると、眠たいのか船を漕いでいた。
笹原は時折俺と反対側の人に寄りかかりそうになっている。
「駅着くまでだぞ。」
見兼ねた俺は、そう言って笹原を抱き寄せた。
「え…?」
「るせぇ。黙って寝とけ、轢くぞ。」
そして、とん、と肩に重みがかかる。
「…駅、着くまでだからな。」
返事はなく、代わりに寝息が聞こえてきた。
あぁ、駅までの時間。
ずっと続いてほしい。
柄にもなく、そう願った。
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