黒バス夢Book

□ほら、また。
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ほら、また。


君はいつもそうやって俺を惑わせる。






*

「涼太!一緒に帰ろっ」

いつものメニューを終えた俺に、マネージャーである千晶っちは声をかけてくる。


「いいっスけど…俺この後自主練してくっスよ?」

帰り遅くなるから、と断ろうとしたところで、先に千晶っちが口を開く。


「うん、待ってるね。涼太と一緒に帰りたいから」





…なぁんて、またまた。

期待しちゃうじゃないっスか。




*

「お待たせ」

そういえばここ最近、よく千晶っちと帰ってるなー

そんな事を考えながら、歩き出す。

俺の歩調じゃ、千晶っちには少し早くて、一生懸命着いてくる千晶っちが可愛くて。



…そう、俺は千晶っちが好きっス。

でも千晶っちは、俺の事なんてこれっぽっちも興味ないんス。

だって千晶っちは…



「ちょっと涼太、聞いてる?」
「あぁ、聞いてるっスよ。笠松センパイの事でしょ?」


聞きたくもないっスよ、好きなコの好きな人の話なんて。


だから、聞いてるフリ。


それでね、今日笠松センパイがね〜、と、また楽しそうに話す千晶っち。




本当に笠松センパイが好きなんだなと改めて思う。



なんで俺にばっかこんな話するんスか。

いっそ俺の所なんか来ないでセンパイの所に行ってくれたらいいのに、と思う。



だけど、


一緒に帰るとき、千晶っちはいつも俺に手を絡めてくる。


俺らは付き合ってるわけでもないのに。

こんなの俺のファンの子に見られたら…



多分、千晶っちは特に何も考えずに手を繋いでくるのだろう。


特に深い意味はない。




だけど、千晶っちの事が好きな俺としては、複雑っスよ。




我慢、出来なくなりそうっス。













分かれ道に差し掛かり、千晶っちに別れを告げ帰ろうとする。

が、なかなか手を離してくれない。


「千晶っち?」
「…あっ、ごめん!」

ボーッとしていたらしい千晶っちは、慌てて俺から手を離すと、言った。


「また明日、一緒に帰ろうね!」





あぁ。

ほら、また。


俺の事好きでもないくせに。


そんな事、言わないでほしいっス。


期待しちゃうから。









それでも俺は、この関係を崩したくなくて、また明日、と小さく返した。




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