黒バス夢Book
□これから。
2ページ/3ページ
最近千晶に元気がない。
普段から大人しい方だけど、今日は特に。
千晶は俺のベッドに座り、俯いたまま何も喋ろうとしない。
「千晶、何かあるなら話してくれよ」
堪らず問いかけると、千晶はゆっくり顔をあげた。
だけどやっぱりその顔には笑顔はなく、代わりに目には涙が溜まっていた。
「………別れよう…」
俺は千晶の言葉が理解出来ず、黙り込む事しか出来ない。
「桂典くん、やっぱり私と桂典くんとじゃ釣り合わない…」
そう続ける千晶の目からは、ついに涙が溢れた。
俺は千晶に目線を合わせて屈む。
「桂典くんには、バスケがある、目標がある。でも…私には何もない……何も…」
千晶がそんな事を考えていたなんて知らなかった。
だけど。
「そんなの、これから探していけばいいじゃないか。俺はそんな事でお前と釣り合わないなんて思わないし、嫌いにもならない。」
いや、寧ろ嫌いなんてなれない。
「だから、もうそんな事言わないでくれ…」
というと、千晶は俺の胸に勢いよく飛び込んできた。
「佳典くん…、ごめん、ごめんなさい…」
俺の胸で泣きじゃくる千晶を抱き締める。
すると千晶はまたいつもの笑顔に戻ってありがとう、と言った。
「一緒に、探していこう。」
と言って俺は、千晶の頭を撫で、俺たちは笑いあった。
次ページあとがき。