黒バス夢Book
□口実。
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私と彼、幸男の家は隣同士で、私の部屋と幸男の部屋は、手を伸ばせば届く距離にある。
窓をあけ、幸男の部屋の窓を軽く叩く。
今日は久しぶりのオフだから、部屋にいるはずだ。
「お、千晶どうした?」
人が窓から訪ねてくるなんて普通じゃない事だけど、私達にとっては日常茶飯事。
「ねー、セッションしようよ」
「おう、いいぜ。」
ベースを幸男に渡して、次は自分が向こうに行く。
いつも通り、幸男が手を出して待っててくれている。
「よし…あっ!」
慣れているはずなのに、何故か足を滑らせて幸男にダイブする形になってしまった。
「あ、ごめ…っ」
「いや、大丈夫だ。怪我、ねぇか?」
恥ずかしくって顔が赤くなるのが分かる。
「ほ、ほら、始めようぜ。」
昼間とはいえ、なかなか響くからあまり大きな音では出来ないけど、しばらく2人で弾き続けた。
「幸男、上手くなったよねー」
「千晶も、いい音出るようになったじゃねーか。」
たまにセッションしているからか、私の上達に、幸男はいつも気付いてくれる。
それが嬉しくて、結構頑張っちゃうんだよね。
「あ、幸男。今日肉じゃが作ろうと思ってるんだ。来る?」
幸男が好きな料理だから、とは言わないけど。
「お、行く。」
「じゃあ、材料買いに行こう?」