異世界からもう一人問題児が来るそうですよ?
□第二話 獣神って何ですか?
1ページ/4ページ
『さあ、来るがいい少年。我が貴様を試してやろう!!』
今俺の目の前には、鋭い犬歯を剥き出しにして威嚇している“狼のようなものが”がいた。
全身は白銀の体毛に覆われ、額には剣のような角が生えている。
「・・・いいぜ。力の差を教えてやるよ、オオカミ擬きがぁ!!」
そう言って俺はオオカミに向かって駆け出した。
『フン、図に乗るな、人間ごときがぁ!!!』
オオカミも脚を蹴り上げた。
そして2つの影は重なり・・・・・・・次の瞬間・・・・・・・・辺りに砂塵が舞った。
なぜ、俺がこのような状況に陥ったかというと、それは、数十分前に遡る・・・
〜数十分前〜
あれから黒ウサギのコミュニティに行く事になり、俺達は森の中を歩いていた。そんな中、俺は十六夜に話し掛けられた。
「なあ、遥斗。ちょっと面白いことしに行かないか? 」
「面白いこと?一体何しに行くんだ?」
「折角面白そうな世界に来たんだ、箱庭の世界を探検しようぜ。まずはかる〜く世界の果てまで」
「世界の果てまで行くのは全然かるくないと思うけどな・・・でも、黒ウサギの方はどうするんだ?」
確かに面白そうだが、これから黒ウサギのコミュニティに行かなければならない。二人だけで行動するのはマズイと思うが・・・・
「それなら大丈夫だ、さっきお嬢様に伝言を頼んでおいた。お前も行くって言ったときは“ダメッ”て言われたが、なんとか説得してきてやったぜ!」
そう言って笑いながらグーサインをする十六夜。
・・・・だが、俺はふと疑問に思った。
「何で十六夜はよくて俺は駄目なんだ?」
俺がそう言うと十六夜は何故か呆れた顔になり“ハァ〜”とため息を吐いた。
「この、鈍感ヤロウ・・・」
「ん、なんか言ったか。十六夜?」
「いや。取り敢えず行くぞ、黒ウサギに見つかったら面倒だ」
「へ?ああ、それもそうだな。よし、行くか」
「おう」
そう言って共に走り出した。
さっき粗か様に話しを逸らされたのは気のせいだろうか?