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□考えるより行動で
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気温も暖かくなり外で食べる弁当も苦でなくなったこの頃。
菓子パンを頬張りながら日向は隣で険しい顔をして弁当を貪る影山にと視線を向けた。
「なー影山ー」
「ん?」
「あのさー」
「くだらねぇ内容だったらシメるぞ」
「くだらなくなんかねぇって!」
クシャクシャと袋を丸めてポケットに突っ込む。
「飯食ってんのにしかめっ面してっから気になんだよ。なんか心配ごとか?」
「はぁ?んな顔してねぇ」
「してるって!いつも怖ぇけど今日は三…いや五割増だ!」
「んだと?!」
日向の頭を鷲掴みギリギリと力を込める。
びゃっと悲鳴を上げて慌てて抵抗をした。
「痛い痛い痛い!」
「テメーが変な事言うからだろ」
ふんと鼻を鳴らして日向を開放する。
鈍い痛みを伝えてくる頭を撫でながら涙の浮かんだ瞳で影山を睨み付けた。
「…ひでえ。バカになったらどうすんだよ」
「元からバカだろうが」
「影山にバカとか言われたくねーし」
「あ¨?!」
「ひっ!!」
ギンっと睨まれれば身体を小さくさせて視界から逃れようとする。
小動物を虐めているような気分になり睨むのをやめて大きくため息を吐いた。
「…最近変なんだよ」
「…へ?」
「毎日バレーやってんのにスッキリしなくて、なんでかってそれ考えてたからお前の言うようなしかめっ面してたんだと思う」
「お、おう」
怒っていたのにと影山の態度が変わったことに困惑しながらなんとか返事を返す。
おそるおそる影山に近づいた。
「じゃあいまはどうなんだよ?」
「そうだな…一人でいるときより酷いな。どっかボヤって熱いんだよ。身体が」
飲み終えたヨーグルのパックを潰す。
「おい、授業はじまんぞ」
「え?!マジだ!!」
影山の声に見上げた時計は授業五分前を差していてあわてて立ち上がる。
不意に日向が影山をじっと見上げた。
「なんだ?」
「俺にできる事あったら手伝ってやるからな!」
「はあ?」
「そんだけ!じゃあまた部活で!」
駆け出していった日向の背中を見送り、顎に手を当てた。