挟まる快感

□序章-また生まれた命-
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...ん?

ここはどこだ..

暗い狭い深海の中にいるみたいだ....

この不思議な空間の外側から、優しい女の人の声と凛々しい男の人の声がする。

狭くて体が締め付けられる感じがして、思わず目の前にある壁を蹴ってしまった。

まずいと思ったその時、

女「っ!あっな..た...赤ちゃんが..蹴った....お腹を蹴ったわよ!」

と必死にもう一人に訴えかける、女の人の嬉しそうな声が聞こえてくる。

男「...っあぁ!ほんとだな....っく」

と泣き出すのを押し殺すような声でこちらもまた嬉しそうだ。

そこで何かに俺は気がついた。

あぁ....またか........

そう....“また”だ。何度も何度も。


実は言うと俺は生きて死んでと、転生を繰り返している。

そう、あの“事件”から....ずっと、な。

....それから数ヶ月が経ち、俺が生まれた。

やはりこの女の人は母さんで、男の人は父さんだったようだ。

二人とも容姿端麗で優しそうな夫婦だった。そうこれが俺の121回目の両親。

だけど俺はこの事実に恐怖感を覚えた。

なぜならば、俺の本当の母と父.....俺が初めて生きるという体験をした時の母と父だからだ...。

ナゼ、、

ナゼナゼナゼ、、、

同じ顔、容姿、声、何もかも同じなのだ.....

コワイコワイコワイコワイ

普通ならば6028年も生きていれば、最初の両親の顔なんて思い出せるはずがない。

だけど、俺は“覚えている”

悪夢で毎日毎日現れるのだ。

あの二人の顔が。両親が。

そう、“事件”が起きた日の事を忘れまいと。忘れまいと、何度も何度も.....

だから俺は泣けなかった。

赤ちゃんの小さなその手で必死に、自分の喉を締め付け、また死のうとした。

だけど、その時神のお告げが降り、一度手を緩めた。

《蓮よ...お前は心残りなに一つもなくまた人生を終えると言うのか?》

頭の中に神が俺に告げるように囁く声が聞こえてきた。

〈なんだ....神か。
邪魔すんなよ....どうせ、
俺はまた生き返るんだろ?
体は朽ちることはできとも、魂は転生を繰り返し、死ぬことが出来ない宿命なのだから...〉

そう言い顔を沈め、緩めた手をまた首に当てようとすると、

≪それは違うぞ、蓮。
我は確かに、お主は一生死ぬ事が出来ぬと告げた、
だがお主はもうこの世界で死ぬ、死ぬことが出来るのだ。》

ピクッと近づけようとした手を止め、驚きで顔を上げ口も半開きになり...

〈死..ぬ...ことが....でき...る..だと?どういうことだ。説明しろ〉

真剣な顔つきになり、眉間に皺を寄せた。

《うむ、最初に死んだ時にこう言ったな?“弟もお前と同じように転生を繰り返している。だから、
弟を見つけ出すまで、お前を死なすわけにはいかぬ”と。
何故ならば、弟を止めぬと7000年後にこの世界はいくつもの懸け橋となっているこの超次元から、消え去ると我が予想したからじゃ。つまりこの世界は滅びる。
蓮、お前の弟によってな...》

ふっと神が立ち上がり、静かに告げるようにそう言った。

〈そんな馬鹿なことがあるはずがない。ないないないない。
あんな優しい奴に限ってそんな.....〉

少し疑うように、だがもっと信じたいという思いが頭の中でぐるぐる駆け巡る。

〈わけがわからない....なぜだ。なぜなんだ.....〉

沈みこむように体を丸めた。

《とにかく、お前の弟....隼に会うといい。そこで全てがわかるであろう....それと、今の新しい両親のことを信じてやれ.......》

神がそう言った途端、光が隙間から差し込み、眩しくて思わず目を細めた。

その時、俺は.....

『おぎゃあ!っひくっ...』

母「っ!やっと泣いてくれたのねっ!!」

嬉しそうに涙ぐみ、その新しい母は心から俺の誕生を喜んでいた。

父「やったな、コウっ...!俺たちの初めての子だ....あぁっ」

寝込んでいる母の胸元から、俺をゆっくり受け取り、愛しそうに精一杯強く、でも優しく包み込むようそっと抱き締めた。

母「ユウサク.....この子の名前言ってもいい?」

そう新しい母が新しい父と俺に
微笑みかけた。

父「あぁ...勿論だ。」

俺を母の顔元へ近づけ、母は俺のことを愛しそうに見つめると、

母「そう...貴方の名前は....レンよ。レンこれから宜しくね。」

満面の笑みでみんなに告げた。



【後書き】
はい、2回目書かせていただきました。正直、上手く書けてるかどうかわかりません笑
ですが一応読める文にはなっていると思いまっす!
読者の皆様には感謝しています。まじありがとうございます(´;ω;`)
良かったらメールや掲示板で感想受付ています(^q^)
訂正あったらずばずばどうぞ!
ではではまたのお越しをお待ちしております、アデュっ!

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