執事いじり
□片思い
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三宮に用があって部屋に入ろうとした水嶋は
聞き慣れた彼の声がして 入るのを躊躇った
(政春…笑ってる)
この屋敷に来てから こういうことは何回も
見てきてるし 慣れたつもりだった
だけど やっぱり辛い
政春が出てきてから部屋に入ろうと思い
ドアにもたれかかる
(政春…)
会話の内容は聞こえない
だが、政春が嬉しそうに笑っているのは
嫌でも耳に入ってしまう
どうしてあの時彼に気持ちを伝えたのか
言わなかったら 気まずくならなかったのに
いつもどうり楽しく笑えたのに
(いつまで悩んでても仕方ないよな)
ドアの向こうからは まだ二人が楽しく会話しているのが聞こえる
まだかな と思ったのもつかの間
ガチャッとドアノブを捻る音がした