SHORT-STORY
□ありがとう
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談話室から1番近い自分の部屋に寄って、新しいコートを羽織る。
改めて廊下に出ると、同じフロアのベルの部屋へと足を運んだ。
「今日は確か、ベルの任務は午前中に終わるって聞いたんだけどな…」
ノックをしても返事がない。
「どこに行っちゃったんだろ…?」
今、来た道を引き返し、ルッスーリアの部屋がある、一つ上のフロアへとエレベーターで向かった。
長い廊下を歩く。
誰とも擦れ違わない事が、急に不安になる。
「ルッスーリアー?愛実だけど…」
返事はない。
はぁー、とため息をはく。
「もしかして、ダイニングルームかな?」
皆で食事をしてるのかもしれない。
愛実はエレベーターの最上階のボタンを押した。
エレベーターのドアが開く。
ダイニングルームへと続く大きなドアの前には、
一つだけ、人影があった。
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