SHORT-STORY
□特等席
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今日は5月5日
カレンダーの日付は赤くなっていて、小さくこどもの日、と書かれていた。
そしてその文字の上にピンク色のペンで書かれた字。
それを見て頬が緩む。
〈恭弥の誕生日〉
「ふふっ…」
やっとの事で多忙な彼のスケジュールに私の名前を書き込んでもらえた。
今日は一日、一緒に過ごす約束をしたの。
だって私、彼女だもん。
恭弥の彼女だもん。
昨日の夜遅くまで悩んだ服に手を通して、鏡の前に立つ。
髪の毛のハネはない?
「うん、大丈夫ね」
マスカラはまぶたについていないかな?
アイラインは失敗してない?
「よし、完璧!後は待ち合わせ場所に遅れない事ね。
えーっと…時計、時計……」
部屋の壁にかけてある時計に目をやる。
「10時まであと………3分……!?…え、嘘!?あれ、3分!?
わわわわーっ!!遅刻しちゃうーっ!!!」
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