SHORT-STORY

□優しいあなた
1ページ/3ページ



「恭弥」



隣で寝息も起てずに眠るあなた。

長い任務を終えて、ようやく帰って来たのは昨日の夜のこと。



疲れているのね。

10年前はちょっとでも近付いたら起きたのに

呼んでも起きないなんて。

…安心してくれてるの?

私に心を許してくれてるの?



ボンゴレ10代目、沢田綱吉さんの雲の守護者になってから

ボックスの調査で世界を飛び回る日々。

あなたがこうして日本に帰って来るのは数ヶ月に一度で

ふたりの時間は長いようで短かった。



それでも必ず、帰って来てくれるから。

どんなに離れていても、何日かに一度電話をくれるから。

長い任務を終えた後、玄関で迎える私を優しく抱きしめてくれるから。



寂しさが募(ツノ)る事は無かった。



「恭弥?」



もう少し寝かせてあげたいけれど、



「起きて、」



そっと髪を撫でると、ゆったり開く綺麗な瞳。



「おはよう、恭弥」

「…愛実」



太陽が真上まで昇った時間。

眩しい世界に目を細め、私をそっと抱き寄せた。




次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ