SHORT-STORY
□優しいあなた
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「恭弥」
隣で寝息も起てずに眠るあなた。
長い任務を終えて、ようやく帰って来たのは昨日の夜のこと。
疲れているのね。
10年前はちょっとでも近付いたら起きたのに
呼んでも起きないなんて。
…安心してくれてるの?
私に心を許してくれてるの?
ボンゴレ10代目、沢田綱吉さんの雲の守護者になってから
ボックスの調査で世界を飛び回る日々。
あなたがこうして日本に帰って来るのは数ヶ月に一度で
ふたりの時間は長いようで短かった。
それでも必ず、帰って来てくれるから。
どんなに離れていても、何日かに一度電話をくれるから。
長い任務を終えた後、玄関で迎える私を優しく抱きしめてくれるから。
寂しさが募(ツノ)る事は無かった。
「恭弥?」
もう少し寝かせてあげたいけれど、
「起きて、」
そっと髪を撫でると、ゆったり開く綺麗な瞳。
「おはよう、恭弥」
「…愛実」
太陽が真上まで昇った時間。
眩しい世界に目を細め、私をそっと抱き寄せた。
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