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やばい!やばい!やばい!
絶対普通の人じゃない!!

私はベットに広げた荷物を急いでトランクに詰めていく

そんな姿をシロは優雅にあくびをしながら見つめていた。


「シロ!寛いでる場合じゃないって!さっきやばいのに出くわして、あれ一般人じゃないよ!アウトな人の臭いだったよ!」

わたわたと部屋の端を行ったり来たりしながら喚く

もう語彙力とかゼロに近い程やばいしか言えない気がする

どうしよう、あと何詰めたらいい??
チェックアウトとかこの時間に出来るかな?



慌てる私を見かねてか、足元にシロがやって来てちょこんと座る
そしてじっと、こちらを見つめだした。

まるで「落ち着け」とでも言いたそうな構え方に、少し気持ちに余裕ができる


一つ深呼吸をすると

「ごめん、落ち着いた。」
〈そうか〉

シロはにゃー、と鳴いた。

シロは私の言葉を理解している。
スタンド能力だ。直接口を開けてしゃべる訳ではないが、彼は私の頭の中に話しかけてくるのだ


今は慌てることよりも、まず何をするか考えなくては…

よし、ちょっと整理しよう。

結局、私は金庫の中身には手をつけていない。その場を逃げ去ることで頭が一杯だったし

まだあの部屋には、あのやばい男達が寝ているに違いない。

夜中の、あの売人男に用事があって、しかも電気を付けて暫くしたタイミングで入ってきたって事は…

つまりは寝込みでなく、起きてる男に用があったのだろうか


薬が欲しいなら、何もこんな時間に窓からやってこないだろうし

それにあの2人組みの感じからすると、何だか犯罪に手を染めてそうな感じがした。


売人男とは違う雰囲気、もっと関わらないほうが良いって思えるような感じ。

おそらく…殺し屋?
え、殺す専門の人?

そう言えば金髪の方はスタンドらしきものも見えた。


「…マジにやばいタイミングで出くわしちゃったって事?」


でも偶然か奇跡か、両方とも私のスタンドに嵌ってくれた。

そんな直ぐに起きて来ることはないだろう。

短くても1時間後くらいかな?


その間に姿を眩まそう。
こんな時間に開いてるお店なんて無いだろうけど、このホテルに居るよりはマシなはずだ

外に出てしまえば、追ってくるのも困難だろうし。

そうと決まれば…



コンコン。



部屋にノックの音が響いた。
びくりと体が跳ねる


コンコン。


またノック音だ
こんな夜中に… まさか

「夜分遅くにすみません。フロントの者です。」

男の声がした。


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