short

□似てる
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実に良い天気だ。
こんな日は外で遊びたくもなる

なまえはお気に入りのオレンジ色のカチューシャを付けて、少し外に出る事にした。


普段から格好が少年っぽいと言われているなまえだが、あまり気にした事は無い。

むしろふわふわ着飾っている女の子の方が少し苦手かもしれない…


…カチューシャだけは譲れないけど。

(スカート履くくらいなら、ズボンを履く!)

なまえは財布と携帯を持って、ふんっと鼻を鳴らした。









家を出た時間帯が丁度お昼時だったので、お気に入りのバールに入り、テラスの席に座った。

ここからの席はとても居心地が良く、通行人なんかも見れたりして結構楽しい。


なまえはオレンジジュースを頼んで、テーブルに頬杖を付きながらぼんやりと品が来るのを待っていた。

暖めるような陽光が優しく体を照し、とても心地が良い…


うとうととなり始めていた時、突然驚くような声が辺りに響いた


「あぁ!!」

まるでアイスでも落とした子供が大声を出してるような感じだ…

まどろむ目がはっとなり、瞬く。


辺りを見渡せば、席を挟んだ通行側に此方を真っ直ぐ向いた少年がいた。

驚いて立ち止まってしまった通行人の中に、ぽつりと目を見開いて立ち尽くしている…

きっと、さっきの声はこの人のものだろう



(…? 何だか、自分に似ているような…)

オレンジのヘアバンドに、長い前髪と、私と同じ長さまで切られた後ろ髪。

まじまじ見るほど、似てる気がする…


もちろん向こうは少年な訳で、そっくりかと言われればそうで無いような気もするけど…。


なまえも少し驚いたように目を見開く


先程から此方を凝視する少年は
今度は何か言いたげな表情で目をパチパチさせていた

(…誰だろう?)

なまえは姿勢を戻すと、不思議そうに首を傾げた。


今気付いたが、少年の横にはもう一人男の人が立っていて、こちらも驚いたような顔をしていた


なまえは急に自分の格好の事に驚かれているのかと思い、恥ずかしくなる。

少し肩をすくめさせ、慌てて前髪を直したり服の端をちょっとひっぱってみたりした



「な、なぁ… あんた、誰だ?」

固まってから暫くして、ようやくヘアバンドの少年は声を零した

今度はまるで、今から楽しいことが起こりそうと、期待しているように思える。


なまえは少し不信そうに、でも愛想笑いも忘れず言葉を返す

「…なまえです。あなた達は?」

「…あ、失礼。僕はフーゴと言います」


そしてこっちはナランチャです。と、白髪のもう一人の少年はぺこりと頭を下げた

穴だらけの変な服装をしているくせに、凄く礼儀正しく自己紹介をしてくれる。

なまえは慌ててお辞儀を返した。


すると、タイミング良く先程のウェイターが注文の品を持ってくる

そこではっとなり

「えっと、もしよかったら一緒にお昼ご飯食べませんか?」

と、彼らを昼食に誘ってみる事にした…


何でそんな事を言ったのか良く分からないが、もしかしたら私も今の状況を楽しんでいるのかも。
と、ちょっとだけ苦笑した










「あ、だから驚いてたんですね」

なまえは納得ごちに何度も頭をふる

ナランチャと呼ばれた少年は、私の向かい側に座り
何故がデザートを頼んでいた

(お昼食べないんだ…)

そんな抜けた彼を眺めながら、フーゴと名乗るちょっと堅そうな彼は困ったように答えてくれる


「はい。失礼な態度を許してください」

「そ、そんな頭を下げないでください!」

フーゴは私の横で椅子に腰掛けながら、またぺこりと頭を下げた

私はわたわたと彼の肩に手を添え、やんわりと頭を上げさせる



そんな私達に、あからさま機嫌の悪くなったようなナランチャがじっと見つめていた…

(し、視線が痛い… な、何か悪い事でもした…のかな?)

なまえはビクッと手を引っ込めた


 
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