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□冷めた身体
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なまえが死んだ。

東洋人であるなまえの葬式は、勿論ジャポネ風に行われる。


黒い喪服を詰め込み、数珠などと言う玉の連なったアクセも買って、俺は日本へと向かった。


何故かと言われれば、招待状を貰ったため


最近会っていなかった彼女のマンションにふらりと立ち寄れば、ポストに彼女の他界の知らせと共に、俺宛の手紙も同封されていたからだ。

そして催される日付も過ぎていない。



…最近会えないと思っていたら
なまえは死んでいたのか






彼女の母国である日本は始めてであり、勿論その国の言葉を話せるわけも無い。

俺は予め[ベイビィフェイス]で作ったスタンドの子供を、ジャポネの言葉が話せるように教育をしておいた。


物質に変形できる能力があるため、目立たない様にピアスになってもらう




今、俺の耳には 黒い小さなピアスのスタンドが付いている訳だ。

まさか自分のスタンドをこんな事に使う日がくるなんて…



俺は向かいの飛行機の中、無意識に黒のピアスを弄っていた。

手元のパソコンに、[che?(何?) 違和感でも?」

見慣れないジャポネの言葉と、イタリア語が表示される。


俺は「何でもない」と打ち返し、そっと仕舞った。







なまえは実に大人しい女だった。

今までの姦しい女達より、長く付き合っていた気がする。

余計なことは喋らず、ただにこやかに微笑んでいるだけ


時々見せる天然振りには、彼女の頭を撫でて一緒に笑っていた。




…それが、死んでいたなんて。


機内の窓から見える景色は、薄い雲が眼下に広がり ただ何処までも切れることの無い冷たい空が続いていた





−−−‥


なまえの実家に着いた。


式も終わりかけなのか、出入口から俯きかげんの人達がぞろぞろと出て来る。



家の前には白黒のストライプの幕が下がっており、大きな花も並べられていた

そして縦に書かれた何かの文字…



ジャポネの字は読めないが、耳元でなまえの名が書かれている事をベイビィフェイスから教えてもらった…






中に上がると、独特な匂いが鼻を突く。

シンとした室内に、黒一色の関係者達…


ずっと奥の中心には、白い棺が沢山の花に囲まれ 崇められる様に置かれていた。


目線を棺から上げると、黒い額縁になまえの写真が…



俺しか見た事の無いと思っていた彼女の笑顔が、まるで其処に居るように置かれている。



…本当に死んでしまったのか?





しかしこれからどうすれば良いのか分からず、ただぼうっと入り口の傍らで眺めるように突っ立っているしか無かった。



…あの棺の中になまえが居る


今更ながらに思っても実感が湧かない。

なまえが死んだなんて、俺には理解出来ない。


死体なんて沢山見てきたけど…


何故か、彼女の死体だけは見たくは無かった。


 
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