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□繋がり
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私は人とは違った。
見た目は一緒でも、中身が違う…
勿論食事も、睡眠も、入浴もするが きっと中身が違うのだ。
それに気付いたのは何時だったか…
気が付けば、既に私は異質である事を認めていた。
それは凄く不思議で、他人には見えない。
霊の様に少し透けているももの、物質には触れる様で、壊す事も出来た。
昔、その幽霊みたいな能力を使い、友人の飼い猫の傷を治してあげた事がある。
どうやら私にしか見えない幽霊は、傷を治す事が出来る様だった…
薄く柔らかな光にその飼い猫が包まれたかと思えば、次の瞬間には立って歩き出し、何処かに行ってしまった…
また無事に歩けるようになって、私は
「良かったね。治って」
安堵に声を掛ければ…
友人は、まるで人ではない何かを見るような目付きで、その後二度と話してくれる事は無かった。
(私が何かしただろうか…?)
しかし、それだけでは収まらず
友人は周りの人達に、その不思議な出来事を話し回ったみたいだった。
私は孤立し、外に出る機会も減った…
一度町の人間に見つかれば、あの何とも言えない目線で睨まれてしまうからだ
そんな出来事から何年も経ち、私は社会に出れる年齢になった。
それまでの生活は何とも惨めで、何をしても楽しく無かったが…
きっとこれからは違うだろう
自ら友人を作ることを止め、休日はショッピングなどではなく部屋でじっと本を読んで過ごす日々を送っていたが
しかしこの年齢を機に、私はその町から引っ越す事にした。
これで私を知らない人達と共に過ごす事が出来るのだ、と。
一人意気揚々と、これからの新しい生活に目を輝かせていたのだが…
やはりそう上手くは行く筈も無く、中々人に馴染む事が出来なかった。
(もう嫌だ… 人なんて嫌いだ。外に出ることも、人と話す事もウンザリだ。私は一生一人で暮らしてやる…)
−−−−−‥
私は夜道を一人急ぎ歩いていた。
どう言う理由だったかは覚えていないが…
手に食料の入った袋を持っていた事は記憶している。
普段人通りの少ない道を歩いていると、少し向こうの方で人が倒れているのを見つけたのだ。
突然の事に理解出来ず、立ち止まっていると…
微かにその人が動いたのを見て、私は駆け出し声を掛けた。
「あ、あの… 大丈夫ですか?」
(人なんて嫌いだけど… でも助けなきゃ!)
私の掛け声は相手に聞こえていないようで、ただ呻き声だけが夜道に響いていた…
(ど、どうしよう… こう言う時って救急車かな?)
慌てて携帯を取り出し番号を押そうとすると… 耳元で声がした。
それは昔から聞き慣れていた声で、一瞬辺りが白く淡い光に包まれたかと思うと…
呻いていた人は、何事かと不思議そうに起き上がり、自分の体を確かめ出していた。
…きっとあの幽霊のお陰だろう。
しかし私は隠していた能力を使ってしまい、あの嫌な目線を思い出して、慌ててその場を逃げ出した。
一瞬横の風景が二重に見えたが…
きっと気が動転しているからだろうと切り捨て、一目散に家へと駆け込んだ。