雷撃少女!

□4.困惑!マネージャー業!
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円堂くんたちに連れて行かれた先では、鬼道くんや不動くん、綱海くんなどの懐かしい顔ぶれのほかに、見慣れない顔もちらほらとそろっていた。

「え、円堂くんこれは…?」

「それが、俺にもまだよくわからないんだ」

円堂くんが困ったように首を傾げる。そんな仕草も大変可愛いですね!!!
しばらくすると響木監督がやってきて、私のほうを見ると満足そうに一度大きくうなずいた。

「お前たちにはこれから、日本を代表して世界と戦ってもらう!」

「――は?」

そんな素っ頓狂な声を出したのは円堂くんだった。しかし彼以外のメンバーは「やっぱりか」などと最初からすべてわかっていたかのようなことを言っており、彼だけが蚊帳の外のように会話はスムーズに進められていく。

「えっえっ――ええええ!?て、ていうことは俺たち――!」

「円堂、やったな!」

一郎太が嬉しそうに言う。

「次は世界だ!」

はいストップたんま。
雷門サッカー部プラスαが日本代表?すっげーよかったね精一杯応援させてもらいますよテレビの前で。

「私はなぜ呼ばれた!?」

アイス返せよ!せっかくホームラン打ったのに!
そう喚くと響木監督にすごい形相で睨まれたのでお口ミッフィー!

「…お前には、マネージャーとして活躍してもらいたいと思ってな」

「ああなるほ…は?」

今度は私が素っ頓狂な声を出す。
私がマネージャー?

「え?why?」

「俺が、それがいいと思ったからだ」

「ぼ…」

暴君だ!
私は驚いて目を丸くして、なにも言えなかった。すると返事を肯定ととらえられたのか、「よろしくな」と肩を叩かれる。

「ちょ、私にはソフトボール部の活動がありまして――!」

「では今からここにいるメンバーをさらに十六人に絞り込むが――」

「話を聞いてくださいよ!?」

扱いがひどくない!?
私は若干涙目になりながら響木監督に訴えた。

「あ、あの私…そりゃ、サッカー部のみんなも、サッカーも大好きですけど、でも、私はソフトボール部でして…」

「好きだとか嫌いだとか、そういう問題じゃない」

「…え?」

「お前が、どちらを大切だと思うか、だ」

頭を、がーんと殴られた気分になった。どちらが大切か?そんなの、決められるわけがないじゃないか。

「…今からここにいるメンバーを十六人に絞り込む」

響木監督は言った。

「11人対11任で三日後に試合を行い、その結果やプレー次第でこちらが十六人を決定しよう――その日まで」

響木監督は言った。

「精々悩むことだな、柊木」

「……」

「…解散。三日後の試合のメンバーは木野のほうから発表を頼む」

「は、はい!」

私は、呆然とその場に立ち尽くした。













あれから。二つにわけられたチームのメンバーたちは、それぞれ河川敷やグラウンドへ練習に向かった。

「ゆずは…大丈夫か?」

恐らく間抜けな顔をしていたであろう私に、一郎太が声をかける。私は、今度は顔を赤くする余裕もなく首を縦に振るだけだった。

「…頭冷やしてくる」

「お、おう…」

心配そうな一郎太の視線を背中で受け止めつつ、私は鉄塔広場へ向かった。夕日をぼーっと眺めていると、なんだか自分までもが飲み込まれて消えてしまいそうだった。

「やっぱりここだったのね」

「!るーちゃん…」

「ほら、アイス」

一人で夕日を眺めて物思いにふける私にアイスを差し出してくれた女神は、同じソフトボール部所属のるーちゃんという姉御肌の友人だった。

「どうしてここに…」

「半田くんが、あんたが家に帰ってないっていうから」

「ああ…」

「どうしたの?しおれちゃって」

「…るーちゃん、もし私がさ」

「うん?」

「ソフトボール部から離れるって言ったら、どうする…?」

るーちゃんは少し驚いたような顔をした後、んー、と空を仰いで、からりと笑った。

「寂しいけど、ゆずはが決めたことなら私は止めないよ」

「…どうして?」

「だって、ゆずはがそれを正しいと思ったんでしょ?だったら、しょうがない」

るーちゃんは自分のアイスをぱくりと一口食べて、髪を掻き上げた。

「でも、私はキャプテンだから…」

「キャプテンだねえ」

「だからね、やっぱりみんなと…」

「ええと、なに?たぶんこれ予想ね予想。サッカー部に呼ばれてる、んだよね?」

私はこくこくと何度もうなずいた。るーちゃんは、やっぱりね、と言ってお姉さんぽく笑った。

「ゆずははソフトボールと半田君以外興味ないと思ってたけど、存外そうでもないみたいね」

「そ、そりゃそうだよ!私だって、好きなものはたくさんあるし、大事なものも、守りたいものも、たくさん…」

「じゃあ今守るべきなのはさ、何?」

るーちゃんは綺麗な瞳をこちらに向けた。涼風がびゅう、と吹き抜けた。

「守る…?」

「うん。自分がいなきゃダメなんだって。これは自分がなんとかしなきゃ、あるいは、力にならなきゃダメなんだっていうもの」

「…私は」

「言っとくけど、私たちソフトボール部はそんなにヤワじゃないわよ」

「え…?」

「あんたに心配されなくても、全員肝の据わった奴らだってこと」

「……でも」

「半田くんから聞いたよ。すごいね、うちのサッカー部員たちは。今度は世界かぁ…困難も苦難も、たくさんあるだろうねぇ」

「……」

「…助けて、あげれば?」

「わたし…」

「いや、違うか」

るーちゃんは言う。

「助けたいんでしょ?そばにいたいんでしょ?なによりあんたは、――一緒に、困難も苦難も乗り越えたいんでしょ?」

「る、るーちゃ…っ」

「あー泣くな泣くな。半田くんの前でしか泣かないあんたはどこ行った」

「うっ…ご、ごめ…っ」

「頑張ってよね!あと、ソフト部のことは私にかーんと任せて」

「かーんと?」

「間違えた。どーんと」

るーちゃんは悪戯っぽく笑った。変わらない。しっかりしているのに少し抜けているところも。みんなのことをよく見ていてくれているところも。全部全部、変わらない。

「るーちゃん」

「ん?」

「私――行ってくるね」

「ん」

「また、また一緒に――」

「ああ」

るーちゃんは白い歯を見せてにっと笑った。

「ソフトボール、やろうね」









困惑!マネージャー業!
(変わらない仲間がいてくれるから、)
(きっとこうして踏み出せる)





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るーちゃんはオリキャラです。
本名は私にもわかりません(`ω`)

でもゆずはちゃんの親友です

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