雷撃少女!
□3.再燃!雷撃少女!
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ソフトボール部の練習が終わり、制服に着替えて半田の待つ元へ行こうとすると、懐かしい顔ぶれがそろっていて思わずびびった私は、半田の背中に隠れた。
「おい、なんで隠れてんだよ、お前」
「…はっ!そ、そうだよね、うん」
私はきちんとみんなに向き直る。
「ゆずは!」
「っ!?ふぇええい!?」
緑色の髪をした男の子が、がばっ!と私に抱き着いてきて首元にほおずりをした。
「おい、お前!」
「久しぶりだね、ゆずは!」
「え、えええええとあのぉおおおう!」
半田の制止も聞かずに男の子はさらにぎゅうっと私を抱きしめる。ああああの心のキャパシティに余裕が!ないんだけど!
「俺だよ、俺!レーゼ、っていえばわかるかな?」
「…へっ?」
ぱっ、と私から体を離し、にっ、と笑う男の子。
「れ…レーゼぇえええ!?」
「うん!本当は緑川リュウジっていうんだ!よろしくね、ゆずは!」
「え…えぇええ!?」
あまりのギャップにたじろぐ私。それに対し彼…緑川くんは「その節は本当にごめんね」と言って頭を下げた。
おうふ…律儀…!
「レーゼ…レーゼかぁ!へっへへ!わー緑川くん!えへへ!」
「リュウジって呼んでよ!」
「うん!リュウジ、改めてよろしく!」
私は彼の手をぎゅっと握って上下に振った。すると彼は顔を真っ赤に染めて「う、うん」と急にしおらしくうなずく。なに?風邪?
「ゆずは!僕も北海道から来たよ」
「わー士郎くん!久しぶり元気だった?」
「うん!早くゆずはに会いたくて仕方がなかった」
「上手だなぁ、士郎くんは」
へへっ、と笑うと、彼は「冗談なんかじゃないさ」と言って笑った。おおおうエンジェルスマイルごちそうさまです!
「柊木、」
「ゆずはちゃん、久しぶり」
「佐久間くん!ヒロトくん!わあああ!えっなに、うれしいよなにこれ!どうしてどうして?えっわー!二人ともけがはもういいの?」
「ああ。俺はもう全然平気だ」
「俺も、早くみんなとサッカーがしたくて仕方がなかったよ」
二人は顔を見合わせてくすりと笑う。
おおう…!この二人、意外といいコンビ!
「…ゆずは」
「っ!い、いちろうた…」
私はそこに立っていた彼の顔を見るなり、顔を真っ赤に染めてそっぽを向いてしまった。
わあああ!やばい!心臓がうるさい!
「…風丸くん、ゆずはに何かしたの?」
「ふ、吹雪目が笑ってないぞ」
「え?ふふ…そう?」
士郎くんが私に近寄ってきて頭を撫でる。ほわああう…相変わらず上手な撫で方。目を細めてまったりしてると、後頭部にチョップが飛んできた。
「痛い、半田!」
「うるせぇ」
半田はぐいっ!と私の腕を引っ張って、背後に隠すようにした。なんだよ、べつに私悪いことしないよ!
「円堂…こいつに、何の用なんだ?」
「ああ…それが、俺たちにもわからないんだ。ただ、響木監督が呼んでこいって」
「ふうん…そうか」
半田はちらりと私のほうを見た。彼はこの時点で何かを悟ったような顔をしており、少しさみしそうな表情をしていた。
「だとよ」
「ふぇ?」
「人様に迷惑かけんじゃねえぞ」
「え?あ、は、はい」
「あと」
半田は私に向き直って、頬を引っ張る。
「なんか困ったことがあったら、誰よりも先に。誰よりも先に、だぞ。俺に言え」
「わかってるよ…って、どうしたの半田?」
「ん、わかればいい」
半田は満足そうにがしがしと私の頭を撫でた。
「円堂、こいつを頼む」
「ああ、わかった!」
「え!?ちょ、私これからアイス…っ!」
「行こうぜ、ゆずは!」
「アイスぅううううう!」
円堂くんに腕を引かれて、なすすべもなく連行された昼下がりでした。
再燃!雷撃少女!
(結局私はまともに一郎太と顔を合わせることができなかった。)
(だってなんかこしょばいんだもん!)