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□障害のある娘
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ある日、私はのどかなたんぼ道を一人で散歩していた。
すると遠くに親子らしき人が見えた。
一人は大人の男性。父親かな?
もうひとりは車椅子に乗った14歳くらいの少女。
父親は車椅子を押すことなくその少女の少し前(4m程)を歩いていた。
車椅子に乗った少女は自分の腕を使って車椅子を押しながら父親についていく。
遠くにいる二人にだんだん近づいて行き、少女の顔が確認出来た。
その少女は何故か白い布か何かで目隠しをしていた。
音を頼りに父親の方へ進んでいるのだろうか。
もう少し近づいた時、少し先を歩いていた父親が少女の方を向いて立ち止まった。
そして「おいで、ほら。よしよし」と笑顔で話しかけた。
まるで幼子に話しかけているような口調だ。
少女は喜んでケラケラと笑った。
体を小刻みに左右に揺らしながら。
私はなんとなく直感的に、
(あの女の子は少し脳に障害があるのかもしれないな。)
と思った。
父親は少女が喜んでくれるようにああゆう行動をとっていたのかもしれない。
親子をまじまじと見つめていた自分が恥ずかしくなり、
私はその親子から目をそらした。
少し歩いて、その親子との距離3m。
「おいでおいで」という父親
相変わらずケラケラと笑う車椅子の少女。
すれ違う時、私は気づいた。
その白い布の内側からこぼれる涙に。




あとがき
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