機動戦士ガンダムSEED Destiny ザフト編(完)
□遺伝子
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地球降下後、マハムール基地へ向かった。
ミネルバの入港に外へ出ると、信じられないような、予想できたような人物がいた。
「アスラン……」
イザークの誘いを跳ね除けて、というか、保留にしてちゃっかりフェイスとは、絶対に怒鳴られるぞ。
お互いに話もできないが、目線で挨拶はした。
「ハイネでいい。堅苦しいのはナシにしようぜ」
ハイネのいつもどおりの挨拶に、アスランは少々戸惑ったようだ。
ハイネの性格を分けてもらうと、アスランはちょうどいいのかもしれない。
「アスランさ、オーブ代表に許可もらってその格好してるわけじゃ、ないよね?」
ガルナハン奥の火力プラント入手についての作戦後、アスランと基地内を歩いていた。
僕の言葉に、アスランは唇を噛んでうなづく。
「オーブに入ることも、できなくてな」
しかも、姫君は行方不明。
「でも、目指すものが同じなら、きっと大丈夫さ」
「ふーん」
「違う、もっと腕下げて」
向かう先に、現地の子どもと赤服の人間が見えた。
シンだ。
久しぶり。とか思う前に、アスランの声が響いた。
「何をしている! 民間人の子どもに銃など持たせるな!」
そうか、ミネルバにアスランが乗っているということは、MSの指揮はアスランが執っているだろう。つまりシンの上官。
うわ、もしかして僕も部下になっちゃうのか。
「アスランさん……。あなただって知ってるでしょ? あいつら、連合の奴らに親殺されて、だから」
戦いたい子どもたちのために。
シンは悪いとは微塵も思っていないようだ。
僕はそっと身を隠した。
「あ」
「よ」
そこには偶然ハイネの姿。
「もう終わったの? 色々」
「まぁな、この作戦の指揮はアスランに一任だし。俺たちは後方支援だ。あんま俺のやることはない」
「ま、楽でいいけど」
「で? アスラン・ザラは何してんだ?」
「ああ、指導??」
曖昧に返すと同時に、怒鳴り声がいっそう大きくハッキリ聞こえた。
「ああ! だから知っている! 撃って撃たれる力の怖さを!! お前なんかより、はるかにな!」
アスランの表情は、とても苦しそうだった。
その気迫に、シンは黙り込む。
「銃で解決できることなど、本当は何一つないんだ」
言いたいことは分かるけど、ここではあまり聞かれない言葉だ。
だって僕たちは銃で解決しているのだから。
睨み返しているシンを残して、アスランはこちらに歩いてきた。
「お前、下手くそだなぁ」
「ホント」
ハイネに続いて肩をすくめる。
アスランは解っているとでも言うように、唇を噛んだ。
「不器用なのは相変わらず。か」
僕はため息をつく。
「銃で解決できることはない。か。確かにその通りだけどよ。あれじゃ反感買うだけだろ」
ハイネの言葉に、アスランは渋々うなづく。
「それは、解っているんだが」
やっぱり、不器用なんだよね。
確かにシンは扱いにくい子だけど、あんなに頭ごなしに言っては、シンでなくても反感を買う。
前大戦を経験している者はともかく、今軍にいる新人は、力を欲している人間なんだから。
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