機動戦士ガンダムSEED Destiny ザフト編(完)

□ユニウス・セブン
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 レストルームで、重い気持ちのままジュースを飲んでいた。

 すると、メイリンがあわただしく入ってきた。

「あ、お姉ちゃん、なんか、大変なことになってるよー」

 姉であるルナマリアを見つけて、事の次第を告げる。

 予想していた通り、ユニウス・セブン落下に伴う破砕作業支援の要求だった。

「うっそ」

 話を聞いたヴィーノが、よく分からないと思いながらも大変なことだと気づく。

「どうすんだよ? あんなの」

 あんなものが地球に落ちれば、壊滅する。

 あの質量だ。

 破砕しても無傷ですむか分からない。

「砕くしかないだろう」

「だね」

 レイの言葉に同意した。

 軌道修正ができなければ、細かくして被害を抑えるしかない。

「砕くって……」

「でかいよな、あれ」

「8キロくらいあるんじゃない?」

「え!?」

 僕の言葉に、一同が静まり返った。

 本当のことを認識してもらわなければ困る。

 背伸びをして、立ち上がった。

「でも、あれはお墓でしょ?」

 メイリンが控えめに言う。

 お墓。
 そうだ。

 あそこは、僕の家族の墓。

「だからって放置すれば、もう一つ、お墓ができるよ」

 僕の呟きは、誰にも聞かれないで済んだ。

 完全に私情が入っている。

 ダメだ。
 イライラしてしまう。

 誰がこんなことをした?

 偶然なんかじゃない、イザークの言うことが本当なら。

 あそこにはまだ何万という遺体が残っている。

 それに、ユニウス条約からまだ、一年も経ってないのに。

「でも、それも仕方ないっちゃあ、仕方ないんじゃない?」

 ヨウランが、場を和ませるためか、少々不謹慎ながらも言った。

「地球とのゴタゴタもいっきに片付いて、俺たちプラントにとっちゃ、案外楽かもな」

 地球には、まだ生きているのか分からない祖父母がいる。

 その星が、失くなる?

「よくそんなことが言えるな!! お前たちは!」

 突然、レストルームに甲高い声が響き渡った。

 入ってきた人物を認め、各々敬礼をする。

 オーブ代表、カガリ・ユラ・アスハだ。

「仕方ないだと!? 案外楽だと!? これがどれほどの事態を招くことになるのか、どれだけの人が死ぬことになるか、本当に分かって言っているのか!?」

「……すいません」

 ヨウランが俯きながら謝罪したが、代表の耳には入っていないようだ。

「自分たちさえ助かればナチュラルは滅んでもいいと、まだそんな考え方なのか、お前たちザフトは! デュランダル議長の下、変わったのではないのか!!」

「カガリ」

 アスランが止めに入るが、さすがに地球に国を持つ代表として、ヨウランの発言は許せなかったらしい。

 それに、僕たちには欠けているのだ。

 地球から生命が生まれたという意識が。

 僕たちが知っているのは、プラントという、限りなく人工的な衛星。

「失礼しました」

 僕が口をはさむが、代表は一歩前に出て、言葉を紡ごうとする。


 だがそれより早く、こちら側の人間の声がした。
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