機動戦士ガンダムSEED Destiny ザフト編(完)
□宇宙の戦い
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『コンディションレッド発令。コンディションレッド発令。パイロットは搭乗機にて待機してください。コンディションレッド発令……・』
どうやら、デブリ帯に入ったところで、ボギー・ワンを補足したらしい。
デブリ帯か……。
確か、ルナマリアは苦手だと行っていた。
自分の進路にある無数の岩や小惑星、放棄された艦。
それらを考えれば、確かに僕も昔苦手だった。
だが、デブリ戦ではデブリ戦のメリットがある。
あの3機だけが相手なら、メチャクチャな戦い方をするだろう。
あれは、デブリ戦に向かない性格だ。
特にガイアは、小回りがきかない。
「私、成績悪いんですよね」
ブリーフィングルームに入ってくるなり、ルナマリアはため息をこぼした。
シンとレイはまだ来ていない。
きっと先ほどの話にカタがついていないのだろう。
「先に行こう、ルナマリア」
「はい」
「あ、それと、シンとかには言ったんだけど、タメ口でいいよ」
「え?」
エレベーターに乗りながら、ルナマリアは顔をかしげた。
「教育係も終わってるし、ルナマリアのが年上だしね」
「あ、はぁ……えぇ!?」
また……そんな、驚かなくても。
アスランみたいに髪が薄いわけでもないし、イザークみたいに眉間に皺なんかよせてないし、ディアッカみたいにおっさんっぽくないのに……。
少々落ち込んだまま、ザクのコックピットまで行った。
ヨウランから説明を受け、ハッチを閉める。
一応、実戦用にGザクウォーリアと同等の火力は持たせてくれたらしい。
あとはミサイル。シールドガード
は通常より能力が低いから、気をつけること。
サーベルの威力もあまり強化できなかった。
まぁ、新人としてはこの短時間によくできたほうだ。
ただ、この装備だとかなり戦いにくい。
ガードして普通に吹っ飛ばされかねない。
後方支援にまわるといっても、デブリだと……。
「デコイしかないか……」
だが作戦を立てる暇もなく、発進シークエンス開始となった。
とりあえず、補佐的なことをやればいい。
元々僕はここのクルーではないのだから。
これからは、あの3人が主流になっていかなければならないのだから。
「でも、これは、先輩のハンデにしても、大きくない?」
改めて、ザクファントムを月へ投げ入れ(納入)たイザーク(が納入したわけじゃないけど)を恨んだ。
そして。
発進と共に、ものすごいGがかかる。
懐かしい感覚だった。
ブーストをつかわなくても宙に浮く機体。
同時に、全方向にロックされる恐れがあるという空間。
『成績悪いのよね、デブリ戦』
ONにしたままの通信に、ルナマリアの呟きが入った。
それにシンからだいぶ厳しい返事がされる。
『レイみたいなこと言わないでよ。調子狂うわ』
「じゃあ、ルナマリアの援護にまわるか」
『え?』
通信に割り込んだ僕の言葉に、二人とも反応した。
「まぁ、機体のせいにはしたくないんだけどね。これで無茶すると絶対死ぬから、後方支援に回るよ。もちろん二人に全部押し付ける気はないけど。二人とも、どこからのロックが苦手?」
『うーん、私はやっぱり足元かな……』
『俺は、たぶん上』
渋々と答えた二人に、僕はうなづいた。
「分かった。じゃあルナマリアの上とシンの足元には気、配るから」
『はぁ!?』
「弱点補ってちゃ仕方ないでしょ。そっちロックされたら、二人とも自分でなんとかするんだよ」
『厳しいなぁ』
ルナマリアのため息に、僕は苦笑で応じた。
一応、僕がいるあいだはこれくらい考えてやってもいいかと思ったのだ。
これからやっていくために。
「あとはっと」
ミネルヴァとの通信を開く。
こちらから言葉をかけなければ誰も気づかないが、メイリンには繋がってしまう。
『え?』
メイリンに、人差し指を唇にあてて黙認してもらう。
あの様子だと、議長は代表とアスランをブリッジに連れて行っただろう。
なんとなく、議長の白々しさは気にいらない。
盗み聞きになるけど、これくらいは許されるだろう。
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