機動戦士ガンダムSEED Destiny ザフト編(完)

□宇宙の戦い
1ページ/9ページ

『コンディションレッド発令。コンディションレッド発令。パイロットは搭乗機にて待機してください。コンディションレッド発令……・』

 どうやら、デブリ帯に入ったところで、ボギー・ワンを補足したらしい。

 デブリ帯か……。

 確か、ルナマリアは苦手だと行っていた。

 自分の進路にある無数の岩や小惑星、放棄された艦。

 それらを考えれば、確かに僕も昔苦手だった。

 だが、デブリ戦ではデブリ戦のメリットがある。

 あの3機だけが相手なら、メチャクチャな戦い方をするだろう。

 あれは、デブリ戦に向かない性格だ。

 特にガイアは、小回りがきかない。

「私、成績悪いんですよね」

 ブリーフィングルームに入ってくるなり、ルナマリアはため息をこぼした。

 シンとレイはまだ来ていない。

 きっと先ほどの話にカタがついていないのだろう。
 
「先に行こう、ルナマリア」

「はい」

「あ、それと、シンとかには言ったんだけど、タメ口でいいよ」

「え?」

 エレベーターに乗りながら、ルナマリアは顔をかしげた。

「教育係も終わってるし、ルナマリアのが年上だしね」

「あ、はぁ……えぇ!?」

 また……そんな、驚かなくても。

 アスランみたいに髪が薄いわけでもないし、イザークみたいに眉間に皺なんかよせてないし、ディアッカみたいにおっさんっぽくないのに……。

 少々落ち込んだまま、ザクのコックピットまで行った。

 ヨウランから説明を受け、ハッチを閉める。

 一応、実戦用にGザクウォーリアと同等の火力は持たせてくれたらしい。

 あとはミサイル。シールドガード
は通常より能力が低いから、気をつけること。

 サーベルの威力もあまり強化できなかった。

 まぁ、新人としてはこの短時間によくできたほうだ。

 ただ、この装備だとかなり戦いにくい。

 ガードして普通に吹っ飛ばされかねない。

 後方支援にまわるといっても、デブリだと……。

「デコイしかないか……」

 だが作戦を立てる暇もなく、発進シークエンス開始となった。

 とりあえず、補佐的なことをやればいい。

 元々僕はここのクルーではないのだから。

 これからは、あの3人が主流になっていかなければならないのだから。

「でも、これは、先輩のハンデにしても、大きくない?」

 改めて、ザクファントムを月へ投げ入れ(納入)たイザーク(が納入したわけじゃないけど)を恨んだ。


 そして。

 発進と共に、ものすごいGがかかる。

 懐かしい感覚だった。

 ブーストをつかわなくても宙に浮く機体。

 同時に、全方向にロックされる恐れがあるという空間。

『成績悪いのよね、デブリ戦』

 ONにしたままの通信に、ルナマリアの呟きが入った。

 それにシンからだいぶ厳しい返事がされる。

『レイみたいなこと言わないでよ。調子狂うわ』

「じゃあ、ルナマリアの援護にまわるか」

『え?』

 通信に割り込んだ僕の言葉に、二人とも反応した。

「まぁ、機体のせいにはしたくないんだけどね。これで無茶すると絶対死ぬから、後方支援に回るよ。もちろん二人に全部押し付ける気はないけど。二人とも、どこからのロックが苦手?」

『うーん、私はやっぱり足元かな……』

『俺は、たぶん上』

 渋々と答えた二人に、僕はうなづいた。

「分かった。じゃあルナマリアの上とシンの足元には気、配るから」

『はぁ!?』

「弱点補ってちゃ仕方ないでしょ。そっちロックされたら、二人とも自分でなんとかするんだよ」

『厳しいなぁ』

 ルナマリアのため息に、僕は苦笑で応じた。

 一応、僕がいるあいだはこれくらい考えてやってもいいかと思ったのだ。

 これからやっていくために。

「あとはっと」

 ミネルヴァとの通信を開く。

 こちらから言葉をかけなければ誰も気づかないが、メイリンには繋がってしまう。

『え?』

 メイリンに、人差し指を唇にあてて黙認してもらう。

 あの様子だと、議長は代表とアスランをブリッジに連れて行っただろう。

 なんとなく、議長の白々しさは気にいらない。

 盗み聞きになるけど、これくらいは許されるだろう。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ