side-JADE
□産まれた意味を教えてくれたキミと
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ろうそくの灯りが揺れる部屋。
テーブルの上にはヒロインちゃんが焼いてくれたケーキ。
もうろうそくなんて立てる年じゃないよと言ったんだけど、
立てないと雰囲気が出ないと言い張る彼女に負けた。
揺らめく炎の向こうには彼女の嬉しそうな顔。
なんだか自分の誕生日より嬉しそうだ。
「夏輝さん、お誕生日おめでとうございます」
「……ありがとう」
誕生日。
一年に一度巡ってくるこの日は、俺にそこまで重要なものではなかった。
産んでくれた両親にはもちろん感謝はしているけど、
ヒロインちゃんと出会い、こうしてお互いの誕生日を祝うようになって、
何故感謝をするのか、その本当の意味を知った。
俺の存在――。
それは奇跡に近い数字から始まり、
これまで出会った人達によって成り立っている。
それがどんなにすごい事なのかを確認するこの日。
一年に一度巡って来るそんな大事な日を、
大事なんだと気づかせてくれたキミと、
これからもずっと一緒に祝えたらいいな。
俺を支えてくれる全ての人に。
ありがとう――。